気になる工務店「相羽建設」のモデルルームに行ってみて感じたこと。それは「ちょうどいい」という感覚。建物が気に入ったというのはあるけれど、他にも理由がありそうです。前回に続いて、家から考える、これからの暮らしと郊外。
造園もすてきなモデルルーム
いざ、モデルルームへ!
何だか気になる工務店、相羽建設をもっと知りたいと訪れたモデルルーム。足を踏み入れた瞬間、感じたのが「そうそう、こういう感じがちょうどいい!」という印象。イメージしていた住みたい家って、こういう建物だった気がしてきた。
だけど「ちょうどいい」と思えるのはどうしてだろう? 広さ・場所・価格・環境……。家を判断する基準はいろいろあるけれど、数字やデータではない「なんだか合う」という感覚。そう感じる理由をひも解いていけば、家づくりのヒントが見つかる気がする。
モデルルームは2棟。イベントスペースにも使用されているため、経年変化の様子も確認できる
家探しって難しい
私たちは妥協せずに暮らしたい。気に入った家に住みたいし、窓から庭の緑が見えていたらうれしいし、近くの公園でのんびりしたい。だからといって無理や背伸びはしたくはない。急に職場を変えることもできないし、予算だって限られている。
背伸びをせず、妥協もしない暮らしを考えたとき、一番に気になるのはやっぱり「家をどうするか」ということ。自分らしくのんびり暮らす環境、手触り感のある暮らしをしたいと考えていくと、自然と「郊外」と呼ばれる地域にたどり着いた。だけど家はどうしよう?
私たちは不動産屋なので、毎日いろいろな地域でたくさんの物件情報を見ている。でも残念ながら、郊外には(もしかしたら都心にも)「住みたい」と素直に思うことができる家はすごく少ないのが現実だ。
圧倒的によく見かけるのは、パターン化されてしまった戸建て。1階に車高が限定された駐車スペースがあり、内装はツルッとした新建材、隣にも同じフォルムの建物が並んでいる。価格は魅力的かもしれないけれど、どこかのまちで見たことのあるような戸建ては、私たちの欲しい家ではない。やっぱりどうせ住むのなら、自分らしい家に住んでみたいと思う。
だったら建築家に依頼をして家をつくった方がいい? もちろんやってみたい。でも予算は見当もつかないし、細部までこだわり切るのもちょっと大変そう。私にとっても、家を探すみんなにとっても、それがベストな道とは言い切れない。
そんなことを悶々と考えながら、妥協せずに住みたい家を探す(つくる)のは本当に難しいと思う毎日。「私が欲しい家」というものにはなかなか出会えずにいた。
無垢の床と和紙の壁紙を用いた、じんわりやさしい空間
「所有したい」という初めての感覚
そんな私たちが相羽建設のモデルハウスに入った瞬間、全員「欲しい!」と口を揃えてしまった。
これまでたくさんの物件を見てきて「こんな家に住めたらいいなあ」と思うことはあったけれど、自分自身にとってはいろいろな意味で現実的ではなかった。「欲しい」という感覚を覚えることは珍しい、もしかすると初めての感覚かもしれない。
私たちはワーキャー言いながら建物の中を歩き回って、いろんな生活を想像した。無垢の床に手持ちの家具は合うだろうかとか、休日は日のあたる和室でゴロゴロと本を読みたいだとか、板張りのお風呂ではどんな音楽を聞こうかとか、隠し部屋のようなロフト書斎で仕事がしたいとか。
手触り感のある自然素材を使用し、太陽と風がたっぷり入るように設計された家は、純粋に住みたいと思える心地よさがあった。そのうえシンプルな内装だから、背伸びをしすぎる雰囲気もない。自分が暮らすイメージがすんなりと湧いてくる。
サンサンと日が当たるソファスペースがお気に入り
のびのびとゆとりのあるウッドデッキで庭の緑を愛でる暮らしが浮かぶ
相羽建設の家、何が違う?
相羽建設は設計から施工まで行う。家づくりのコンセプトは「自然と暮らす」こと、そして「住み続けたいと思う」こと。
自然のエネルギーを生かすために、風や光の通りやすい設計を行い、外部から採り入れた新鮮な空気を太陽熱で暖めて床下から循環させる全館空調システムを採用。体にも心にも優しい自然素材を多く使用することで、ていねいに住めば味わいのある経年変化を楽しむことができる。長く住むほど、自分好みに育つような家をつくっている。
そして住む人の変化に合わせて、家自体のカスタムができることも特徴だ。新築戸建ての一つである「木造ドミノ構法」では、大黒柱と外周壁で構造を支えているため、室内の壁は最小限でいい。だから子どもの成長に合わせて壁をつくったり撤去したりできるし、大きなリビングだって手に入れられるのだ。
日光と植栽の影が気持ちのいい和室
ウッドデッキとの段差がないので、リビングが広く感じる。床にはさりげなく太陽熱で暖めた空気の吹き出し口
魅力は家そのものだけではない。地域に根付く工務店として、建材も地元の資源を積極的に使用。地元の職人とつながるだけでなく、これからを担う若い職人も大事に育てている。家づくりだけではなく、まちのため、住む人たちのための働きかけも精力的に行っているそう。
そういう色々な活動も「気に入った家に長く住んでもらうためですから」とサラッと当たり前のように言ってしまう。なんだか頼りがいのある近所のお兄さんのような工務店なのだ。
建物の隣に並んだ、車1台分の広さの離れ「舎庫」
趣味の場や仕事場の他、ちょっとしたアトリエとしても
家をつくるとなると、いろいろな選択をすることになる。何をとって何を捨てるのか。その選択にどれだけの時間をかけるのか。
一つひとつの条件はもちろん大事だけど、そんな選択をするとき、同じ価値観で一緒に考えてくれる人がいるかどうか、が一番大事な気がする。
そういう意味で、相羽建設の手掛ける家そのものも、会話をしてくれるスタッフも、違和感がなくて心地がいい。そしてそこに関わる人たち、例えば月1回のマルシェ「つむじ市」で出会った参加者も、施主の方も、なんだか同じ空気感をまとっていて安心できる。
暮らしがイメージできる家と、そんな家を大切に育てている人たち。そんな空気感が「ちょうどいい」と思える家の正体なのかもしれない。そしてやっぱり無視できない「値段の話」はまた次回。