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column 2021.6.25
 
畑の中に住む?! - 生産緑地と新しい郊外 -
林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)
 

「生産緑地」を知っていますか? 都市の農地を守るために指定された生産緑地の制度が、いま転機を迎えています。そこで地域をより魅力的にしつつ、農地所有者も生活者もハッピーになれるこれからの農地と居住空間の新しい関係について考えてみました。生産緑地のオーナーの方にもぜひ読んでもらえたらと思います。

都市の農地がなくなる?!

6~7年前から不動産業界で話題になった 「生産緑地問題」という言葉があります。何が問題なのかというと、街の中の農地が2022年に一斉に売られて開発されてしまうのではないか?! という話です。

1992年に制度ができて以来「生産緑地」に指定された都市農地は税金が優遇されていたのですが、設定されていた30年の期限である2022年を迎えると、ものすごい量の農地が宅地として売却されて土地価格が暴落するなどの影響が生じるのではないか、という議論が巻き起こったのです。

結局、2016年に法律が改正され、さらに10年は延長する選択ができるということになりました。

この図は東京都内の某エリアの生産緑地のマップですが、このように東京にもまだ畑は結構あるんです。

生産緑地のオーナーは農業を続ける義務があるものの、人によっては高齢化や後継者問題、あるいは経済的な問題などさまざまな事情で、土地の一部を売らなければいけない事情も出てきます。

そうすると農地の半分を宅地にしてアパートを建てたり、ミニ開発の用地として売却するということになったりします。本来、街の中に残る農地は周辺の地域にとってさまざまな価値や意味があります。それがあっさりと切り売りされて、味気ない環境がつくられてしまうとエリアの魅力が下がり、ただでさえ人口が減っていく郊外では、二度と地域の価値を上げられなくなるといっても過言ではありません。

地域の魅力が増していく! 農と住がもっと融合する未来

そんな状況に対して、農地所有者も地域に住む人たちもハッピーになる新しい形は考えられないだろうか? と考えてみたのが下の図のイメージです。

「畑の中に住む」「農と住が融合した空間」をテーマにしたこの構想では、農地の中に住居(一部や長屋型の集合住宅)を点在させ、「住宅とその周りの土地だけ」を宅地に転用しています。それらの隙間や、囲まれた中央部の空間は、畑や果樹園などになっており、その部分は引き続き生産緑地としています。

生産緑地はその名の通り生産のための場所であり、当然ながら営農が行われることが前提ですが、最近は一般の生活者の間でも菜園などにチャレンジする人たちも増えているので、農地オーナーによっては、引き続き畑となる部分を体験型農業のチームに委ね、市民農園として開放することも考えられるでしょう。

こうすることで緑地の空間的なゆとりや“農の風景”や“農の体験”を、敷地内や周囲に住む人が日常的にもっと享受することになります。それによって生産緑地は地域(の人たち)にとっての新しい価値を生み出すことになります。農地と隣り合わせにあるのに何の関係性もない住宅が無機的に並べられていくのは、地域にとってもオーナーにとっても、もったいないと思いませんか?

ここでの住宅は多世代に対応するものとして、畑仕事をしたい高齢者も、そして子どもたちも“農”に触れる日々を過ごします。もちろん近隣に住む人たちもここに出入りする中で、地域のコミュニティ拠点としての役割を担っていきます。

また生産緑地が近くに集中しているような地域でこのような活用が点在していくと、例えばバーベキューや農園レストランなどお、暮らしと共にある農を楽しむための空間を、敷地ごとに役割分担するように配置していくことも考えられます。農地と融合した暮らしの空間は、都心ではありえないライフスタイルと風景を生み出し、地域の価値を長期的に保ち、さらには上げていくことになる可能性があります。

実際にこんなプロジェクトが実現すれば、東京R不動産でもきっと人気物件になると思います。生産緑地オーナーさん、2022年は迫ってきたタイミングでありますが、一度お話しませんか?

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