column 2024.1.30
 
【シリーズ】郊外くらしラボ

2/24 まち歩き&説明会 家は「もらう」時代に!?

千葉敬介(東京R不動産)
 

千葉県の郊外にある戸建て住宅団地を舞台に、家をもらって住む人を集めるプロジェクトを立ち上げます。でも重要なのは家がもらえることではなく、暮らす環境や地域をつくる主体となる人たちがいること。どんな地域か、どんな人たちか、気になった方は、遊びに来てみてください。

家の持ち方として「もらう」、という選択を考える時代が来ています。

どこか地方の話として耳にすることはありましたが、その波はもう首都圏にまで。そこで今回は千葉県市原市の戸建て住宅団地を舞台に、家をもらいたい人を集めるプロジェクトを始めます。

プロジェクトの核になるのは、現地に拠点を構えて活動する「kurosawa kawara-ten」。

黒澤健一さん率いるkurosawa kawara-tenは、建築設計事務所であり、工務店でもある、頼もしいパートナー。黒澤さんの地元である戸建て住宅団地を中心に、これからの暮らしや地域をつくっていく実験的な取り組みが、このプロジェクトです。

kurosawa kawara-ten

空き家を10軒ももらっている黒澤さん

家をもらえるのはなぜなのか? どうやったらもらえるのか? そこに僕らはどんな可能性や魅力を見出しているのか? そしてネックは?

きっと気になることが山盛りだと思うので、一つずつ説明していきます。

その前に、最初にお伝えしておきたいことは、まだもらえる家が決まっているわけではない、ということ。でも「欲しい人がいるなら、出せますよ」と黒澤さん。

それは根拠のない自信ではありません。なぜなら黒澤さんは既に10軒もの家をもらい、使っているから。それはオフィスやスタッフの住居から、実験的に使っている家までさまざま。

そしてそんな風に黒澤さんやスタッフ、関係者が住んだり活動したりしていることこそ、僕らがこの地域に可能性を感じ、プロジェクトを立ち上げようと思った一番の理由です。

(※ 先ほどから「もらう」といっていますが、ここでは少額の対価のやり取りをする場合も含めて、もらうと表現しています)

団地と周辺で黒澤さんがもらった建物を示したマップ。その数10軒も!

重要なのは、家をもらえることではない

人口減少の時代。空き家は2030年には470万戸程度まで増加するといいます。そんな中で空き家をもらえること自体は、それほど特別なことではないでしょう。

さらにいえば、家をもらえるからその地域に住もうと思うかといえば、そう簡単ではない。そもそも仮に家をもらいたいと思っても、どうしたら良いか、見当もつかないし……。

だから黒澤さんのような人が地域に根差した活動をする中で、空き家を集め、人を呼び込み、サポートできることが何よりも重要です。そして建築家や工務店がそうした役割を担うことで、市場価値を越えた魅力を持つ地域が生まれてくる可能性があると、僕らは考えています。

つまりポイントは家がもらえることではなく、地域をつくる人、つくれる人がいること。そこに価値があると思っているのです。

DIYならぬ、DIT!?

さて、黒澤さんはなぜ空き家をもらえるのか? 理由は簡単で、買い手が付かないから。古い建物がある土地はそのままでは売れず、建物を壊すか、リフォームする必要がありますが、どちらもコストがかかり、売ってもマイナスになってしまいます。

つまり、もらえるのはそういう古家なので、期待は禁物。そのままではボロくて住めないので、手を入れる必要があります。

そこで頼りになるのが黒澤さん。自分で改修するなら、道具の貸し出しやアドバイスなどのサポートを頼んでもいいし、工事や設計を発注してもいい。近所には黒澤さんにサポートしてもらってカフェ兼住居を自分で建てている、すごい人もいます。

黒澤さんはそんな関係をDIYならぬ、DITと呼んでいます。TはtogetherのT。もちろんそれは黒澤さんとの関係だけでなく、価値観を共有してここに集まる人たちどうしの関係を表す文字にもなるはず。そこに大きな期待を感じています。

先に人を集めます

このプロジェクトでは、もらえる空き家を発掘するのと並行して、もらいたい人を先に集めます。

なぜかといえば、これからの社会で地域の価値を決める要素として、どんな人と、どんな関係をつくれるかが大きいと考えているから。

黒澤さんがいるのはもちろんのこと、集まった顔ぶれを見て、ここが楽しい地域になりそうだと思ったら、家をもらうことを選べばいいと思います。

きっとこういう場所やプロジェクトに集まるのは、自分で生き方や働き方を主体的に決められる人、自分で価値を生み出せるような人ではないかと期待しています。

そんな人たちが集まったら、この地域は不動産相場を越える価値を持つようになるし、その魅力にひかれてさらに人が集まる場所になる。それを目指すのがこのプロジェクトの目標です。

実はそんな可能性を予感させる動きは、既にあります。

黒澤さんはこの団地だけでなく、周辺地域でも空き家活用の事業をする人たちをサポートしています。

その一つ、市原市の南部で古民家と移住者のマッチングを行う「開宅舎」では、若い人たちを中心に、賃貸で地域に住み始める人を集めています。その結果、人口5,000人ほどの地域に、数年で25組もの人が移り住んでいるというから驚きます。

気になる人は、ぜひこちらの地域も見に行ってみてください。

開宅舎

「開宅舎」のオフィスも、もちろんkurosawa kawara-tenが手掛けている

明日の郊外団地

ということで、今回は1回目のイベントとして、団地や周辺で黒澤さんたちが関わっている建物を案内してもらいます。

今回は参加できないけど興味ある、という方も、次の機会にお知らせをしますので、フォームでご登録いただけたらうれしいです。

こちらのサイトでは、黒澤さんが戸建て住宅団地についてのリサーチと考えを、すごい熱量と文章量でつづっていますので、ぜひ。

KOUGAI DANCHI OF TOMORROW|明日の郊外団地

すごすぎる熱と量の文章……。ぜひご一読を

建築家向けのイベントも同日開催!

さらに同じ日の午前には、建築関係の人を対象にした説明会も行います。

先ほども書きましたが、これから黒澤さんのように空き家を地域の資源に変え、人を呼び込むことで地域をつくることが、建築家の仕事になると考えています。だから僕らもそんな人たちといっしょに、魅力的な地域を増やしたい!

共感してくれる方の参加をお待ちしてます。詳しくは下のリンク先にて。

2/24 【建築家向け】空き家を「もらう」時代の地域づくり

(写真提供:しなやかデザイン、kurosawa kawara-ten)

まち歩き&説明会
家を「もらう」時代の暮らしづくり

日時:2024年2月24日(土)13:30〜15:30
場所:吉野台団地と周辺地域
住所:千葉県市原市西国吉
参加費:無料
参加方法:事前予約制
以下リンク先にてお申し込みください

申し込みページ(peatix)

2月24日のイベントに参加できない方は以下のフォームでご登録ください
登録フォーム(googleフォーム)

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