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column 2021.10.4
 
【シリーズ】郊外くらしラボ
自由に働こう! けやき出版の“まんなか”の働き方(前編)
兵藤育子(ライター)
 

郊外での暮らしを考えるとき、気になるのが仕事や働き方……。と思っていたら、面白い働き方を実践している会社がありました。それが以前イベントにも登壇してくれた「多摩のことなら誰より詳しい」けやき出版。そこで代表の小崎奈央子さんと木村志津子さんに、多摩の暮らしと働き方の理想形や可能性について聞いてみました。

けやき出版の代表 小崎奈央子さん(左)と、木村志津子さん(右)にお話を聞きました

自由と安心を両立させる“まんなか”の働き方

山岸:私たちは今、多摩地域が気になっているんですが、中でも郊外ならではの働き方に興味があります。けやき出版では出版業だけでなく、お店を出したり、ラジオのパーソナリティをされたりなど、幅広い業務内容でいろんな人が関わっていますよね。どんな方が働いているんですか?

小崎:まず、けやき出版が多摩の一般的な働き方かというと決してそうではなく、特殊な事例であることを大前提としてお伝えしておきます(笑)。先代の社長は、即戦力になる経験者のみを正社員として採用することをポリシーとしていて、私は子育て中に入社したのですが、やはり仕事と家事・育児のバランスの取り方が難しいと感じていました。人によって希望する働き方は違うはずなのに、正社員かフリーランスの二択しかを選べないことにも違和感があったので、私が社長になってから“何でもあり”のルールを作りました。その人がどんなふうに働きたいのか、それに対して会社は何を提供できるのかが基準なので、契約内容が個々で異なります。たとえば個人事業主の方が、定額制でないことが不安なのであれば定額制にして、うちがお願いする案件を優先的にやってもらいます。だけどそれは絶対ではなく、難しいときはこちらがほかの人にお願いすればいいだけなので、やらなくてもいい。みんなが自由に楽しく働けることが大事なので、ルール自体がゆるいんです。

お話を聞いたのは、けやき出版が運営する立川駅の商業施設「グランデュオ立川」にあるスペース「BALL.HUB(ボールハブ) 」。(左はR不動産の森田と山岸)

山岸:取材をしたり、記事を書いたりするような専門的な仕事は特に、違う方にお願いする場合、スキルのある人がある程度いないと難しいですよね。正社員以外にメンバーと呼べる人はどのくらいいるんですか?

木村:「BALL.COMPANY」(多摩エリアをひとつの会社に見立てて、マーケターやイベンター、デザイナー、イラストレーターなどさまざまな分野のクリエイターで構成されたギルド型組織。けやき出版が2020年末に設立)ですと、今は20数名の方に入っていただいています。人によって得意なジャンルが違うので、案件ごとにいろんな方にお声がけができます。

小崎:その辺りは『たまら・び』という多摩エリアのまちと人をテーマにした情報誌を20年以上制作してきて、幅広いつながりができていたことも大きいですね。数年ぶりにお仕事を依頼するような方も含めれば、ゆうに100名以上はつながっていますから。

森田:そういった人脈や体制があったからこそ、出版以外にも事業が広がっていったのですか?

小崎:私たちは“まんなか”の働き方といっているのですが、何かしらチームで仕事をするときは社員もフリーランスも関係なくやりたい人が手をあげる。当たり前の話なんですけど、積極的に頑張る人にはどんどん仕事が来て、そうでもない人には仕事が来なくなるっていう、平等さを大切にしています。

けやき出版のサイトから。「BALL. COMPANY 」のメンバーのみなさん

住んでいるところで働く

山岸:『たまら・び』では地域の人たちと共同で作っていく形を取っていたと思うのですが、その経験が今の働き方につながっているということですか?

小崎:そうかもしれません。『たまら・び』は主婦もいれば、大学生やお年寄りもいて、1号につき30~50人くらいのボランティアが関わってくださっていました。それぞれのまちに対する思いや価値観も当然違うので、それをまとめるのは無理ですけど、みんなが求めるものに応える方法を学ぶことができたと思います。

山岸:出版業は時間と労力がかかるイメージがありますけど、みなさんどのようにして“まんなか”の働き方を実践しているのでしょう?

木村:私の場合、いわゆる9時~17時で終わるような仕事ではなく、子どものお迎えの時間に一旦帰って、夕食を食べさせてから仕事の共有をする、というような働き方なんです。家事や子育てをしながら出版・編集の仕事ができるありがたさを感じるし、出産や子育て、介護など、いろんな家庭の事情がそれぞれあるなかで、こうした働き方ができるのは、業務の量や大変さを超えて得るものがあります。クリエイターのみなさんも、何かしらそういうことを感じながら関わってくださっているのではないかと思います。

山岸:ある種、ひとつの理想形であり、郊外らしい働き方といえますね。多摩近辺に住まれている方が多いそうですが、住んでいる地域で働くのは、やはり働きやすさにつながっていると思いますか?

小崎:ママチャリでみんな通ってますからね(笑)。チャリ通って楽だよね?

木村:忘れ物をしたら取りに帰ったり、学校の面談や保護者会で一時的に抜けたりすることもありますしね。そのメリットは大きいです。

たまら・び』は100号以上続いた多摩の情報誌。途中から地域の人たちが雑誌づくりに参加するスタイルになった

情報誌『BALL.(ボール)』 「はずむように働こう!」というキャッチフレーズのもと、多摩エリアで魅力的に働く人たちを紹介。2020年にスタートし年2回発行

後編はこちら
自由に働こう! けやき出版の“まんなか”の働き方(後編)

(写真:丹下恵実

けやき出版
多摩のことなら誰より詳しい、多摩のコンシェルジュ的な存在の出版社。地域の魅力を掘り起こして発信している。出版以外にもクリエイターを集めたチームをつくったり、場の運営をしたりと活動は多岐にわたる。

株式会社けやき出版|多摩のまちとひとをつないでいく

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