column
2026.9.14
街を楽しくする 作戦アリ 意外とこんなこと
【シリーズ】ニューニュービレッジ 〜これからの気持ちいい暮らし

混ざるって楽しい! tupera tuperaと暮らしの話<前編>

井出あゆみ(東京R不動産)
 

コミュニケーションが暮らしを楽しくする! 絵本やイラストなどで、たくさんの人から愛されるクリエイティブユニット、tupera tupera(ツペラ ツペラ)に、これからの暮らしづくりのヒントをもらうインタビュー。

ひとつの家では手に入らない、豊かさや楽しさを、集まって住むことで手に入れる。

そんな世界を目指している東京R不動産の住宅地づくり。

今回は、創作でも生活の中でも、いろいろな人と関わることを楽しんでいるtupera tuperaの二人から、暮らしを楽しくするヒントをもらいました。

伝わってきたのは、肩の力を抜いて、人とのつながりを「おもしろがる」感覚。

コミュニケーションをおもいっきり楽しみながら、気分や性格に合わせてOFFにするときがあってもいい。そんな軽やかな感覚で関係がつくれたら、すてきかも!?

都会的な、周りとの関係がぜんぜんない住まいではなく、周りとの関係に縛られる昔ながらのコミュニティでもない、あたらしい暮らしの風景が見えてきそうです。

そして二人の自宅の家づくりには、ビックリなエピソードも。

中川敦子さん
亀山達矢さん。大きな窓の外に賀茂川が流れるアトリエ
人を掘り下げるのはすごく面白い

自分たちの絵本を、コミュニケーションツールだというtupera tupera。

遊び心たっぷりに、人のちょっと変なところに気付かせてくれるものがたくさんあります。

例えば『しつもんブック100』。「どんな 花が好き?」のようなシンプルな質問から、「うちゅうじんのおならって どんな音?」のようなちょっと変わったものまで、100の質問が並びます。

「単純な質問ほど、身近な人にはしないもの。よく知っている親でも、意外と好きな花は知らないじゃないですか」と亀山さん。

『しつもんブック100』は、さまざまな地域でのイベントで出会ったの人たちとの“質問タイム“から生まれました。

「質問タイムは面白くなかったことがない。普通のおじちゃん、おばちゃん、みんな面白いんです」。

質問をひとつ投げるだけで、「えっそうなの?」と、知らない一面が飛び出してくる。そんなやりとりがとても盛り上がるそう。

100の質問が書かれた『しつもんブック100』
スマホみたいなサイズのアナログな本が、人のつながりを作る、コミュニケーションツールに

大阪の「生きているミュージアム ニフレル」で開かれた「あなたも愉快な生き物だ!展」(現在は終了)も、自分や一緒にいる人の意外な一面に気づく仕掛けになっていました。

下の写真のように、たくさんのカードの中から自分の特徴にあったものを選んで、同じ特徴の生き物を探す企画。

お母さんが選んだカードを子どもが見て「それぜんぜん違うよー!」と突っ込んだり……。

「家族でも、自分が思ってる自分とは違うように見えているんだな、と気づけて面白かった!」という感想を来館者から聞いて、そういうやり取りが生まれる場をつくれたことが、すごくうれしかったそうです。

「人を掘り下げるのはすごく面白い」と亀山さん。

「目の前の人のことが疎かになっていることって多い。ツールを作ることで、それを掘り下げるきっかけが作れると思っています」

体験型の企画展「あなたも愉快な生き物だ!展」の様子
たくさんのカードの中から自分の特徴にあった内容のものを引いて、同じ特徴の生き物を探しに行く
“生きものパーツ”を組み合わせて、愉快な生きものになる
テーマは「ミックス」

いろいろな人と掛け合いながらの制作が多いというtupera tupera。

「これからはミックスだ!」と声を上げてきたわけではないけれど、「振り返るとミックスだった」といいます。

そのひとつが、さまざまな職業の絵と文字をシャッフルして楽しむ仕掛け絵本『MIXMIX』。武蔵野美術大学にゆかりのある人たちが絵本を出版するレーベル「ムササビブックス」の第1弾です。

卒業生であり客員教授でもある亀山さん。デザイン、建築、工芸、絵画、ファッションなどの芸術が集まる美大だからこそ、「それぞれの個性をシャッフルして、くっつけたい」といいます。

「絵本作家に限らず、武蔵野美術大学に関係のあるさまざまなジャンルの人が絵本を出していければいいですね」

絵本レーベル「ムササビブックス」の第1弾『MIXMIX』は、大原大次郎さんとのコラボレーション
絵と文字の組み合わせをシャッフルして、29,791通りの職業の人が作れる
ものづくりは化学反応

学生とコラボレーションする機会もあるという二人。

武蔵野美術大学の学生と教員も含めた65人で、大型版画絵本を制作したそうです。

「版画って、木版、銅版、シルクスクリーンとか色々あるけれど、それを掛け合わせたものがあまりないから絶対面白いと思ったんです」

異なる版種で妖怪を作成してもらい、『MIXMIX』のようにシャッフルできる仕掛けに。

「アニメキャラの下に、超リアルなお化けの体がいたりして、それがめちゃくちゃ面白い」と亀山さん。

「絵画だと好き嫌いだけで判断しがち。絵本で面白いのは、初見では好きじゃなくても、読んでいくとその絵が好きになっていくことがあるところです」

この企画でも、全く趣味じゃない絵が出てくることもあるけれど、好きじゃないものも組み合わせることによって、自分の基準を超えてだんだん好きになっていくことがあるのが面白いといいます。

「いろいろな人をくっつけて化学反応を楽しみたいんです」

こちらは、世界中のパパを輝かせる道具『パパパネル』
新型コロナで居場所を失ったお父さんを救済するために作られたアイテム
3人の建築家と家づくり!?

楽しいtupera tuperaのエピソードの中でも、一番ビックリしたのは自宅をつくったときの話です。

3人の建築家と一緒につくったという自宅+アトリエの建物。後編では、前代未聞なその様子をお伝えします。

後編はこちら
混ざるって楽しい! tupera tuperaと暮らしの話 <後編>

写真:平野 愛(1、2、3、16枚目)

tupera tuperaの展覧会が開催!

「MIX WORKS —— tupera tuperaの仕事2002–2026」

会場:武蔵野美術大学美術館
住所:東京都小平市小川町1-736
会期:2026年9月14日(月)~10月25日(日)
料金:無料
詳細:MIX WORKS —— tupera tuperaの仕事2002–2026

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