column
2026.2.18
NEW
街を楽しくする 場所の自由 作戦アリ

“200人”からつくる新しい風景  

林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)
 

福島第一原発電のあった福島県双葉町で3月7日、「FUTABA ALTER:NATIVE」が開催されます。1年前に開かれた第1回の続編。“いま、ここ”ならではの“新しい都市計画”、“先回りした未来への道筋”について、一歩踏み込んだ貴重な議論の場になります。双葉町にまだ行ったことない人は、ぜひこの機会に。

双葉町、それから

2025年3月の前回、養老孟司さんはじめ16人の登壇者が、この場所の現状を共有し、その意味と可能性ついて議論しました。

そこで養老さんが語られた「ここは日本の最先端の場所。今後の日本ではさまざまな災害によって、双葉町が経験したものと似た状況がそこかしこで生まれるだろう」という言葉が強く印象に残りました。

一方で、10年以上にわたり居住人口がゼロになったこの町だからこそ、他の場所とは根本的に違う発想が求められ、そこには「これからの日本の地域(社会)をどうつくるのか?」という大きな問いに対する新しいヒントを見出せる……。そうした前向きな可能性と意識が共有されました。

2025年3月に行われた「FUTABA ALTER:NATIVE 」

双葉町では、賃貸住宅や産業団地、「災害伝承館」などができ、2022年の帰還開始後は、街場での新たな動きも少しずつ、着実に進んでいます。

昔から続く祭りも復活し、地元の団体によるツーリズム、革新的な撚糸工場、大学のサテライト拠点、食堂や珈琲焙煎所&スタンド、小さいながらスーパーなどもできました。

駅前にできた日替わりの食堂

駅西側の賃貸住宅

駅前で始めた珈琲焙煎所&スタンド

ただ現在の人口は200人。かつてここに住んでいた人たちのほとんどは他の場所で暮らしを築き、仕事も限られることから、双葉に“戻る”という選択は多くの人にとって今も難しいものであるといえるでしょう。

震災で損傷した家々の解体も進み、町には多くの空き地が残っています。それは寂しいことではありますが、こうした状況にある双葉町だからこそ描ける未来はあるはずです。

町を公園にするという仮説

昨年のカンファレンスで、僕らのチームのメンバーでもある佐々木晶二さん(元国土交通省)が、一つの仮説を持ち出しました。

「町にある空き地をどんどん都市公園にしていったらどうか?」
というものです。

ここでの公園とは、ブランコのある公園をいっぱいつくろうという意味ではなく、都市計画上の用途として空き地を「都市公園」として指定することで、ふつうの街とは全く違う“風景と関わりしろ”が生まれる、というものです。

多分その時にいた人たちは少しポカンとしていたように思います。

が、その後いろいろ妄想と検討を経て、このテーマで有志の勉強会を行ったところ、50人近い参加者がその仮説の持つ大きな可能性について議論を交わし、大いに盛り上がりました。

この町には今後も当面、空き地が残る。それを拙速に開発整備しようとするのではなく、都市公園として指定していく。そして民間主体が管理者となって、そこにさまざまな事業や活動が乗っかっていくという考え方です。子供の遊び場、菜園・庭園、花栽培、キャンプ、屋外美術館……などなどがイメージできます。

そこに外の人たちや企業・団体が主体やスポンサーとして参画しつつ、かつて住んでいた人たちが戻る機会も生まれ、訪れる人たちや新たに関わりを持つ人たちも増えていく。

公園の持つ制度的特徴をうまく活かすことで、広義の公園として、他にはない風景が町全体に広がる……、そして徐々に、次の何かにつながっていく……、そんなイメージです。

町の空間を民間主体が管理することで、新たな“自治”が芽生えていくかもしれません。

地元の人たちが”アート畑”をはじめた

今年の1月に東京で行われた、本イベントの前哨戦「futaba alternative @東京」では、双葉町の伊澤町長をはじめ、地元出身者や双葉で新たな事業を行う経営者、復興庁、大学の関係者などがこれからのアクションについて議論しましたが、そこでこの“公園仮説”の話が盛り上がりを見せたのです。

もちろん決まった話ではありませんが、「確かに、ありえるな……」「検討してみよう」と。

今回のイベントでもこの話をより具体的に深めることになるでしょう。

2026年1月の「futaba alternative @東京」でも、“町を公園化”する話が盛り上がった

また、このカンファレンスを開催するのとは別に、僕らはいま、双葉町の建物と空き地を活用して新たな拠点をつくる計画を進めています。

シェアハウス、ゲストハウス、新たな活動・事業の拠点などが混じり合う場所を想定していますが、これも“公園仮説”の第一歩として位置付けようと考えています。

あたらしい都市計画のキックオフ

「ある意味“ゼロベース”で未来をつくっていける稀有な場所であるからこそ、日本の今までの社会システムすら前提とせず、一周先回りして先駆的な地域社会のかたちを生み出せるかもしれない」

今回はそんな問いを掲げつつ、双葉町に住む人や、住んでいた人たちの気持ち、日常の暮らしの課題やリアリティと、一方で決して簡単ではない地域持続や誇りの再生に向けた戦略的な発想、その両方を解いていく現実的な道筋を見出す話を、「地元の記憶と新たな未来の関係論」をテーマに議論します。

ここでしかできない方法で、この場所に希望を灯すこと、新たな意味や物語を生み出すこと、被災された方々にとっても、はたまた日本の全ての人々にとっても、この地への誇りを生み出すことができないだろうか?

ここは、まだ訪れたことのない人も、一度は行ってみるべき場所であることは間違いありません。今まで想像したことのない、大事な気づきや希望が得られると思います。

FUTABA ALTER:NATIVE 2026
「200人からつくる alternative― 新しい地域自治と風景のデザイン ―」

日時:2026年3月7日(土)11:30~18:30
会場:フタバスーパーゼロミル
住所:福島県双葉郡双葉町中野舘ノ内1−1[MAP
定員:100名
参加費:無料
参加方法:事前予約制
以下のリンク先にてお申し込みください
参加登録フォーム(googleフォーム)

主催:FUTABA ALTER:NATIVE/一般社団法人ふたばプロジェクト
共催:双葉町
協力:浅野撚糸株式会社
公式ウェブサイト:FUTABA ALTER:NATIVE

カンファレンス内容

●SESSION1:関係人口と地域自治論 12:00~13:20
登壇者:
◯官林春奈(FUTABA PEACE合同会社)
◯坂口修一郎(株式会社BAGN 代表取締役)
◯指出一正(一般社団法人日本関係人口協会 理事/『ソトコト』編集長) 
◯江良慶介(kurkku alternative 代表取締役)

●SESSION2:双葉町からの町のつくり方 13:30~14:50
登壇者:
◯町田 誠(元国土交通省公園緑地 課長)
◯古橋季良(復興庁審議官)
◯津川恵理(ALTEMY株式会社 代表取締役)
◯佐々木晶二(都市計画家)

●SESSION3:地元の記憶と新たな未来の関係論  15:00~16:20
登壇者:
◯コムアイ(アーティスト・歌手)
◯國分信一(元東京電力社員/現 双葉町駅西住宅管理組合 組合長)
◯林 千晶(株式会社Q0 代表取締役)
◯福田一治(株式会社福田工業 代表取締役)
◯林 厚見(株式会社スピーク 代表取締役)

●SESSION4:ALTER:NATIVE PARKの未来 16:30~17:50
登壇者:
◯苅谷智大(東北大学特任准教授)
◯佐藤太亮(haccoba-Craft Sake Brewery- 代表)
◯髙崎 丈(髙崎のおかん)
◯矢野 淳(図図倉庫 代表)
◯嶋田洋平(株式会社らいおん建築事務所)

●after Party:18:00~18:30

お問い合わせ先:info@hiraku-futaba.jp(FUTABA ALTER:NATIVE事務局)

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