column
2026.9.3
街を楽しくする 建物で稼ぐ 作戦アリ 意外とこんなこと R不動産の使い方
地域づくりの知見を開発! Area development lab.

面白いだけじゃない! 韮崎に学ぶ、まちのつくり方 Vol.1

井出あゆみ(東京R不動産)
 

地域を変えるのは、誰かじゃなく、自分たち。これはスローガンではなく、山梨県韮崎市で実際にまちの風景が変わった話。そこには一体どんな動きがあったのか? 韮崎の事例から、まちのつくり方を考えます。

このまちでどんな楽しいことができるか、R不動産チームもワクワクしてます

センスのいい店が集まって面白いとウワサになっている韮崎。

大きなまちでも、観光地でもないのに、8年間で約40店もの個性的な店ができて、まちの外からも多くの人が訪れる。

その面白さのわけを探ると、大きな資本や行政に頼らず、地域を楽しく、魅力的にする方法が見えてきました。

そんな韮崎で、R不動産も一緒に何かしたい! ということで、いくつかのプロジェクトも企画中です。

まちのシンボル「アメリカヤ」の再生が、すべての始まり
まちのシンボル「アメリカヤ」を再生

韮崎が動き出すきっかけとなった建物「アメリカヤ」。

1967年に建てられ、地域のシンボルとして賑わいましたが、時代とともに寂れ、15年ほど廃墟状態に。

そんなアメリカヤを再生したのが、建築事務所「IROHA CRAFT」です。

代表の千葉健司さんは地元の韮崎高校の出身。「きらびやかだったアメリカヤが廃墟になって悲しかった。復活させたら面白いと思った」と当時を振り返ります。

工事中から、地域の人たちと一緒に塗装をしたり、SNSで発信したり。ワクワク感に共鳴した人たちが集まり、工事の完成前に全テナントが決定。2018年、新アメリカヤは華々しくオープンしました。

昔の姿も、めちゃくちゃかっこいい
かっこいい建物に、すてきなテナントが集まっています
リニューアルオープンしたときに集まったテナントのみなさん
シャッター街から、ここを目指して人が訪れるまちへ

アメリカヤの再生から8年間で、約40店がオープンした韮崎中央商店街。

ゲストハウス、飲食店、本屋、雑貨屋など、多様な店舗が点在しています。

「このまちで商売する人は腕に自信があって、自分でお客さんを呼べる人が多い」と千葉さん。

シャッター商店街だったまちは、地元の人が飲みに寄り、周辺地域からもここを目指して人が訪れる場となりました。

すてきで、個性的な店が並ぶ、韮崎の商店街
なぜ地域を変えられたのか

韮崎がすごいのは、地域の人や新しく入ってきた人たちの活動で、地域が生まれ変わっていること。

それを大資本や行政の補助などに頼らず、自立して持続させています。

全国に、自分たちでまちを盛り上げようとする人はいますが、つくった店や拠点の運営で手一杯になり、地域を変えるまでには至らないケースも少なくありません。

千葉さんたちは、自然な流れの中でまちを魅力的に変えてきたけれど、その過程を分析すると、地域づくりを成功させるための方法が見えてきます。

センスをいかして、自分のペースで。ゆったりとした時間が流れる、心地いい店が多い
アメリカヤのビルの向かいにできた、アメリカヤ横丁
「集積」を次の挑戦に

当初、千葉さんは「自分たちの事務所として使えるだけでも十分」という気持ちでアメリカヤのビルを再生したと言います。

しかし5階建ての建物には多くのテナントが入り、「人が集まる場」になりました。

アメリカヤの再生が地域に喜ばれたことをきっかけに、千葉さんは空き家だった向かいの長屋を借り、8軒の居酒屋などが連なる「アメリカヤ横丁」をつくります。

つまり結果として、アメリカヤに生まれた「集積」を価値として生かした次の挑戦、「投資」につながっているのです。

一つの集積ができたことで、人が集まり、その周りには新しいお店をはじめやすい環境が生まれます。

それによってアメリカヤ横丁という二つめの集積ができ、アメリカヤを訪れた人が横丁に、横丁を目当てに来た人がアメリカヤに足を運ぶ、相乗効果も生まれました。

そして人の流れが生まれることで、「お店を始めやすいエリア」も広がり、出店が連鎖的に増えていく「循環」ができたのです。

地方だからこそできること

まちを変えると聞くと、自分とはかけ離れた、大きなことのように思います。

でも韮崎で感じたのは、それが「自分にも参加できそう」と思える距離にあるということ。建物を貸す人も、店を始める人も、自分たちのペースでまちに関わりやすい環境があるから、まちを自分ごととして考えられる、ということです。

R不動産のプロジェクト「みんデベ」でも、まちを地域の人たちが変えるための方法を考え、実践し、発信することを目指しています。

みんデベ ― 今日からみんな、デベロッパー!|東京R不動産

韮崎のように、地域のみんなが主体となってまちをつくれる地方には、都心にはない大きな可能性があるはず。「みんデベ」では、その可能性を掘り下げていきます。

そして私たちは、地域を変える存在として、建築家にも注目しています。

そこでVol.2では、千葉さんの活動から、建築家が地域づくりに取り組む意味と可能性を掘り下げます。

IROHA CRAFTの代表、建築家の千葉健司さん
R不動産も韮崎で何ができるか、韮崎チームと作戦会議中

Vol.2はこちら
面白いだけじゃない! 韮崎に学ぶ、まちのつくり方 Vol.2

まるごと一冊、韮崎!
IROHA CRAFTが共同編集したムック。
韮崎に興味が湧いた人はこちらもどうぞ。

『八ヶ岳デイズ 15周年記念特別号』
定価:本体1,650円(税込)
ISBN:4768331769

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