古い長屋が多く残り、ノスタルジーを感じる街、墨田区京島。いつも賑わう昔ながらの商店街が魅力的ですが、実は若い人たちが「複業スタイル」で営む店が集まるエリアでもあります。家賃の安さがポイントのようだけれど、理由はそれだけではないはず。気になって調べてみると……。
京島にある「キラキラ橘商店街」には渋い店が立ち並んでいる
足を運ぶほどひかれていく街、京島。昔ながらの長屋が生き残り、ジャンクな建物が入り混じる、ノスタルジーを感じる街並みが魅力的。
そこに若い世代が自ら建物を改装して小さな店を営みながら、楽しそうに暮らしています。日替わり店長が20人もいるカフェ、カフェ兼けん玉ショップ、植物店、ゲストハウスなど、そのラインナップは非常に個性的です。聞けば、賃料が安くて手持ちのお金でも始められるから京島に来た、とのこと。なるほど合理的な選び方です。
でも、京島って知る人ぞ知るシブいエリアなので、安さ以外にもここを選んだ理由があるはず。そしてその理由には、この街の面白さの秘訣がありそう!
ゲストハウス「墨田長屋」のカフェ
彼らの暮らし方、働き方
京島の位置をざっくりお伝えすると、隅田川と荒川に挟まれた“デルタゾーン”の中心あたり、押上の北東にあります。賑わいのある「キラキラ橘商店街」を中心に、若い人たちのこだわりの詰まった店が集結していて、足を運ぶたびに新たな発見があり、行くのが楽しみになる街。
店に足を踏み入れると、それぞれの世界観が繰り広げられています。そこで若い店主たちに、この街での暮らし方などを聞き込み調査してみました。
「サテライトキッチン」すみからすみまでステキな、まちのカフェスタンド
営業カレンダーを見ると、営業日は不定期で月に何日かしか営業していないことも。小商いの他にバンド活動などを並行する「複業スタイル」で暮らしているそうです。
複業スタイルの良いところは、自分の理想のライフスタイルに合わせて、スケジュールを調整しながら暮らしていけるところ。お店を休んで急に旅行に出かけたりもできてしまう、気ままな感じがすごくカッコイイ。
また自分の周りにいくつものコミュニティがあるため、そのコミュニティどうしが交わっていくのも面白いんだとか。どの店で話を聞いても、多くの人がそんな「複業スタイル」でした。
ところでこの辺りの家賃が気になります。恐る恐る店主に話を聞いてみました。
店主いわく、前からカフェをやりたいという気持ちはあったけれど、清澄白河や白金は家賃が高くて条件が合わなかったそう。京島の店舗を見たところ、初期費用も安く、手持ちのお金でも始められて、自分のライフスタイルに合わせて営業日を絞っても払えると思ったんだとか。
「ハラヘル・ムームーコーヒー」なんとセルフリノベーション! すごい……
店舗の内装もセルフリノベーションとは思えない仕上がりですが、「大工さんに教わりながら覚えました!」とのこと。店主が自ら試行錯誤しながらつくったそう。
やろうと思ったことにチャレンジできる余地がある、やろうと思えば自分たちでなんでもやれてしまう。この街には小商いの先輩が多くいることもあり、そんな土壌があるんだとか。
もともと内装に関して素人だった店主も、今では内装の仕事が来るようになったそう。面白い!
また彼らのお店には、近隣のおばあちゃんが来たり、店に行くたびに新たな友人ができたりするような距離感。個人的に「地縁がなく東京に住む=街の人と関わることはほぼない」と思っていたから、東京でもこんな暮らしができること自体が、とても新鮮でした。
「Green thanks supply」いい緑が揃っています
京島に来た理由とは?
ところで、京島という結構シブいエリアをなんで知っているの? みんな実は地縁がある人なの……? と思って話を聞いてみると、「ある人に誘われてこの街に来た」とみなさん口を揃えて教えてくれます。
彼はいろんな人を引っ張ってくる、“街のお兄さん”のようだとか。ぜひ会ってみたい!
「何をしている人なんだろう? この街のどんなところにひかれているんだろう」ということで、どうやって会えるか探していたところ、あれ……、道端にでっかく電話番号が張り出されているではないですか!
「これはもしや……、その人?」思わず電話をしてみました。
次回はそんな“街のお兄さん”について紹介します。
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