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2026.9.28
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地域づくりの知見を開発! Area development lab.

面白いだけじゃない! 韮崎に学ぶ、まちのつくり方 Vol.2

井出あゆみ(東京R不動産)
 

いい建築家がいることで、まちが魅力的になる。そんな、ちょっと信じられないようなことが起こっている韮崎。これからの時代の地域のつくり方や、建築家の仕事のあり方が、ここにありそうです。

アメリカヤを起点に、魅力的な店が次々と生まれている韮崎。今回は大きな資本に頼らない地域づくりを支える、建築家の役割に注目します。

「地域に根ざす建築家」の持つ大きな可能性が、そこにありそうです。

まちのガイドホテル「ニラサキヤSTAY」。運営は、まちづくりに取り組むニラサキヤ
“いい店”の連鎖を生む

思わず立ち寄りたくなる、デザインのいい店が多い韮崎。

アメリカヤを再生したあと、韮崎中央商店街にオープンした約40店のほとんどを、千葉健司さん率いる「IROHA CRAFT」がデザイン・施工したというから驚きます。

地方でも1軒の魅力的な店ができることはめずらしくありません。

けれどそれが連続すると、個々の店だけでなくエリア全体の価値が変わります。

実際に韮崎は、魅力的な店が増えたことでメディアからも注目され、わざわざ訪れたいまちへと変わっていきました。

IROHA CRAFTの千葉健司さん。素朴な人柄が、なんとも魅力的

新しく店を始めようとする人にとっても、すでに魅力的な店や、人の流れがあることは、大きな後押しに。

自分の店にも“投資”して魅力的にしようと思うきっかけにもなります。

いい店がエリアの価値を高め、商売の「持続性」を生む。そうした先例がまた次のいい店を呼ぶ。

建築家のデザインには、そんな循環を生み出す力があるということを、千葉さんの取り組みは示しています。

クラフトビールと燻製料理の店「TAP8」
薪窯で焼く、ナポリピッツァの専門店「SEI OTTO」
アメリカヤ横丁には他の地域からも人が来て賑わっている
未来を描く力

空間のことを考えると、つい図面を描きたくなるという千葉さん。

「次は泊まれる場所が欲しい」と、近くの空きビルをゲストハウスにするイメージで「頼まれてもいないのに、勝手に図面を描いた」のだとか。

すると思いがけない展開が……。

たまたま韮崎を視察中だった地元企業の社長にその図面を見せたところ気に入って、その日のうちにビルを購入。IROHA CRAFTがリノベーションを手掛け、ゲストハウスが実現してしまいました。

「ここに、こんな店があったら」と想像は出来ても、それを具体的なイメージとして描けるのは建築家ならでは。

建物の使われ方や、その先に見えるまちの風景まで描くことで、共鳴する人が現れ、動き出すことがあるのです。

デザイナーが営むすてきな本屋「YOMU」
建築家にとってのメリット

そうしたことを重ねることで、千葉さんの元には建物を持つ人や、店を始める人、移住者、行政や商工会まで、さまざまな人から相談が集まるようになっています。

つまり、建築家が地域の中心にいることは、地域だけでなく、建築家のメリットにもなっているのです。

韮崎を例にとると、建築家が地域づくりに取り組むことの意味として、こんなことがいえそうです。

その1. 「まち」がお客さんになる
アメリカヤ再生後、IROHA CRAFTが県内で設計・施工を手がけた件数は8年間で約300件。当初は住宅が中心でしたが、店舗などの依頼も増えたといいます。

「アメリカヤが転機だった」と千葉さん。

「リノベーションといえばIROHA CRAFT」という認識が地域に広がり、移住者から相談や、紹介から次の仕事が生まれることも。

こうした地域との関係性は、仕事や収益を長期的に広げることにもつながります。

その2. 投資する側に回れる
アメリカヤ横丁を借りるとき「雨漏りや、構造面の心配もあった」と千葉さん。

そうした建物を目の前にして、予算内で活用までの道筋を描けるのも、建築家ならでは。

建物価格や賃料が控えめな地方では、建築家としての能力を生かすことで比較的小さな規模から投資を始められる可能性があります。

その3.工事もできるといい
地方では、設計から施工まで一貫して依頼したいという需要がある一方、リノベーションを得意とする会社はあまり多くないそう。

センスの良いリノベーションの設計と施工を自社で出来ることは、IROHA CRAFTの強み。地方での差別化にもつながっているそうです。

住宅もたくさん手掛けているIROHA CRAFT
リノベーションだけでなく、新築からポイントリノベまで、予算に合わせて提案。施工まで任せられるのがうれしい
空間づくりから、地域づくりへ

地域の建築家は、空間づくりだけでなく、まちの頼れる存在になり、投資や次の展開も生み出せます。

東京R不動産で進めている、大きな資本に頼らない地域づくり「みんデベ」でも、地域づくりの中心的な存在としての建築家に注目しています。

みんデベ ― 今日からみんな、デベロッパー!|東京R不動産

さらに韮崎では千葉さんの活動に共感する地元や地域外の人が集まり、まちづくり組織も生まれました。

それによって建築以外の視点も加わり、事業として地域づくりに取り組む動きが生まれてきています。

Vol.3では、そうした動きに着目しながら、韮崎の事例をさらに追っていきます。

(Vol.3につづきます)

Vol.1はこちら
面白いだけじゃない! 韮崎に学ぶ、まちのつくり方 Vol.1

韮崎から山梨県全域に活躍の場を広げるIROHA CRAFT。こちらは上野原市の「見晴亭」
一ノ瀬瓦工業が運営するコーヒースタンド「icci KAWARA COFFEE SALON」(甲府市)
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