column 2010.12.28
 

特集コラム「2010年この物件がアツかった!」

編集部
 

昨年に引き続き、アツい物件課(※)が、“2010年東京R不動産で「もっともアツかった物件」特集”をお送りします!

※アツい物件課とは……東京R不動産内に存在する、1度見たら忘れられない特長や雰囲気をもつ物件を「アツい!」と賞賛し評価するチーム。

「蔦アトリエ」 担当:やなぎもと
~外観以上に、中がいいんです~

蔦のインパクトがすごい! 家まるごと包み込んでいます。
でも実は、この物件の一番の見どころは、外観以上に内装がステキっていうところなんです。ひとつひとつがシンプルだけどいい感じ。壁は漆喰が塗られ、床には使い込まれた味わいの足場板。いい位置に開いた窓から、蔦の葉がチラチラ見えて。玄関開けて思わず「ああー、すごくいい」と言っちゃうみたいな。
賃貸募集をした時、オーナーさんがここを使っていた当時のままアンティークの家具や照明も置かれていて、その状態をお客さんに見せられたことも良かったです。お客さんとしても、イメージがしやすいし。
今は、お花屋さんがアトリエ兼ショップとして使っています。

常緑樹なので、1年中もじゃもじゃです。

足場板を使った床がいい感じ。

「美しき白き洋館」 担当:おかざき
~深沢の希少な邸宅~

建物そのものが、とにかく美しい。
内部もいいんですよ。床に敷かれたタイルが、ヨーロッパのお城で使われていた年代物ものだったり。
もともと外交官をされていた方が建てた由緒ある邸宅なんだそうです。奥様が画家だったので3階はアトリエとして使われていたらしい。その後、有名な写真家さんがアトリエとして購入して、今回貸すことになった。
正直、深沢は高級住宅街で家賃だって安くないし、しかも駅から徒歩15分で割と遠い。けれども、この物件は、すぐに申し込みがあった。それだけ希少な物件だったんだと思います。事務所やアトリエを兼ねた住居としてね。今は、器や布、野草等を扱うギャラリー兼住居として使用されています。

宙に浮いているような佇まいがまた美しい。

室内はギャラリーのような空間。

左:敷地内には季節の移り変わりを感じさせる木々。右:床のタイルは、きちんとした手入れにより美しさが保たれています。

「密かに、そして大胆に」 担当:チバ
~こんな空間、見たことない!~

巨大地下空間!
これはもう、ほかに類を見ない物件ですね。広さが約120平米、天井高が5m。スケールの大きさが圧巻。地下でこれだけワクワクするのって珍しいと思う。しかも、オフィスビルの地下とかではなく、住居に併設された地下室ですから。普通に考えたら、あり得ないです。
オーナーさんは非常に有名なグラフィックデザイナーなんですけど、その息子さんが建築家で、その方がこの建物を設計したそうです。オーナーさんも息子さんも海外に知人が多くて、もともとはそうした外国からのお客様が宿泊するためのスペースとして使われていたらしいんです。……が、広すぎ(笑)
以前R不動産で契約してくださったのは、広告の企画・制作関係の会社でした。オーナーさんは改装に対しても前向きな人らしくて、入居当初は箱のようなプレーンな空間だったんですが、空中に持ち上げられたような倉庫が取り付けられたり、どんどん面白い空間になっていったみたいですよ。

圧倒的なスケールの大きさ。光の差し込み方も美しい。

この天井高!

プレーンな箱から面白い空間になりました。

「セミスケルトンの可能性」 担当:ムロタ
~新しい売買物件のあり方を提案~

代々木上原駅から徒歩3分。まず、場所がすこぶるいい。このエリアで探している人って本当に多い。
かつ、内装がある程度いい感じになっていて、自分たちで内装に手を入れられる、というところがまた。
壁と床だけ仕上げてある、ガランとしたシンプルな空間。スケルトンまでいかなくて、このままでも住めるけど、基本的に自分で手を加えて住むのが前提。それが「セミスケルトン」。カスタムできるっていう意味では、すごく東京R不動産的売買物件です。DIY精神をくすぐると思う。
あと、バルコニーが広いし、眺望もいいんですよね。だって、4方向窓ですよ。いいなあ、気持ちいいだろうな、これ。

ざっくりリノベーション。このままでも絵になります。

最低限の設備はきちんと新しく。

この眺めは言うことなし!

「純に暮らす」 担当:チバ
~見れば見るほど愛おしい築50年の日本家屋~

この趣きはいいですね。まず門をくぐると現われる庭に心を奪われます。室内に入ったときの、障子越しにやさしく入ってくる光の感じも。特に和室がいい。昔ながらのいい雰囲気が残っている。
当然傷んでいるところもあるし、設備面では古さゆえのデメリットもあるけど、ほかとは代え難い味わいがありますよね。今回は、若いご夫婦が住居として入居してくださいました。住居として住まいつつ、ゆくゆくは1階をレンタルギャラリースペースとして使っていくそうですよ。

大きくはないけど、ほっとする庭。

品のいい和室。障子の模様がステキ。

広い縁側から眺める庭が、またいいんです。

「東神田職人的店舗」 担当:松尾
~CETエリアの中心に、ちょうどいい一棟~

いい場所に、いい一棟が出た!立地はCETエリアの中心地と言っても過言ではない、「フクモリ」や「noya op」、「タロウナスギャラリー」などが入っているアガタ・竹澤ビルと泰岳ビルのすぐ裏手です。
建物の規模もちょうどいいし、使い方がイメージしやすい。たとえば1階は店舗かアトリエで、上は事務所とか。この一棟をまるまる自由にできるのって、楽しそうですよね。ワクワクする。内部は相当傷んでいて、かなり手を入れないといけないから、ハードルは高いかもしれないけど、その分賃料が手頃なのが嬉しい。
今回成約したのは、栃木でギャラリーやレストランを経営する会社。東京出店のために場所を探していて、サイトでこの物件を見つけたその日のうちに見に来て、その場で即決したという。1階はショップ、2階はギャラリー、3階はベッドルームやキッチン、シャワーなどの設備を整えて、スタッフが1~2泊できるような仕様にするそうです。

ちょうどいいサイズ感。

残置物が撤去され、スケルトンになった状態。

かつてはこんな空間でした。(1階 2007年撮影)

「大きな窓と象牙色」 担当:小松
~バランスのいいリノベーション物件~

この物件へのお問い合わせ、たくさん来ていましたよね。
事務所ビルを2階から5階まで住居に転用した物件なんですが、ちょうどいい感じのバランスですよね。賃料といい、建物の雰囲気といい、リノベ具合といい。めちゃめちゃ凝ってつくり込まれているわけではなくて、「適度にいい感じ」なんです。内装に凝りすぎていない分、賃料も抑えられている。窓が大きいのもポイント高いですね。
あと、二番町っていう場所が実はいいんです。大手企業のオフィスビルや大使館、高級マンションが多い品格のあるエリアで、あえてこのテイストっていうのがいい。

どこかかわいらしい外観。

窓が大きくて気持ちがいい。

スッキリシンプルなリノベーション。

「海に漕ぎ出そう!!」 担当:チバ
~この立地、奇跡です~

こんな物件、本当にあるんだ! って思いました。家からカヤックで海に出られるんですよ。担当したメンバーが物件を見に行ってワクワクしたのも伝わってきますよね。だって、つけているアイコンの数が半端ない(笑)
室内からの眺めもすごくいい。水路を挟んで目の前に公園の緑、その向こうに穏やかな海が見える。場所的にも、横須賀いいなって思っている人、意外といっぱいいるんじゃないですか? 横須賀なら房総と一緒で、都心で暮らしている人がセカンドハウスを持てる距離感ですよね。都内(品川駅)からだと1時間ちょっとで行けますしね。ん~、それにしても本当に気持ち良さそう!

家の前の水路をカヤックで50m進めば、もうそこは海です。

この眺めは気持ちがいい!

好きなだけ海で遊べます。

「たかしまさんち」 担当:三箇山
~元祖、東京R不動産の名物物件~

もはやR不動産の歴史を語る上で欠かせない“伝説”と言っていい物件ですね。東京R不動産がスタートして本当に初期の頃に成約して、お客さんがセルフリノベーションした物件。「東京R事情」でも紹介されています。
実は、私たちはその時代にまだR不動産にいなかったから、当時のことを知らないんですよ。けど、その空気が伝わってくる物件だと思う。
この水色の床とか、本当にかわいい。しかも、イラストレーターをされているたかしまさんが住んでいたということで、イラストの落書きが壁に残されていたりするのが、またいいですね。この物件の一番の魅力は、やっぱり空気感だと思う。普通の不動産屋だったら、落書きや汚れは一度きれいに戻すのが一般的。それをせずに、次に引き継いでいくことができるのは、R不動産ならではだと思います。

入居者さんがキュートなアトリエ空間にセルフリノベーションしました。

使い込まれた水色の床もいい味に。

壁に残された落書きも、そのまま引き継がれました。

「城砦系LOFT」 担当:ムロタ
~もと立体駐車場、天高4.4mのオフィス~

とにかくかっこいいロフト物件。
ここは、マンションの1階と地下1階のメゾネットではあるけど、もともとは立体駐車場が入っていたスペースだったらしい。でも、立体駐車場が廃止されることになり、そこを現オーナーが買い取って改装し、アトリエとして使い始めたそうです。この物件のオーナーさんは彫刻家で、作品をつくるために天井高が必要だったというのがその理由です。その後、オフィスとしてリノベーションされたわけですね。
天井が高いので容積が大きいというか、図面の床面積を見て想像するより、「でか!」って感じる。日本の不動産の価値付けって、床面積が何平米だからっていう二次元的な価値で測られるけど、実際は空間に入って感じる立体的な価値もある。そう考えると、この物件は得した気分になりますね。

秘密基地っぽいところにグッときます。

海外のオフィス空間のような雰囲気。

外観もかっこいい! 品格のあるヴィンテージマンション。

「御徒町密着型戸建」 担当:ヤナギサワ
~2010年一番の「何これ!?(笑)」~

これはもう、すごくいいよね。かわいいし、面白い。純粋に。何これ!? みたいな物件。しかも賃料が手頃ですしね。場所も下町っぽくて渋い。でも秋葉原からも近いし、立地としては超都心。
入居してくださったのは、素敵な雰囲気のカップル。古さゆえに隙間風とかあるだろうし、天井が抜かれて天高が出た反面、断熱面ではデメリットもあるかも、という割とジャンクなリノベーション物件なのですが気に入ってくださって、この建物の面白さを楽しみながら暮らしてくれていると思います。

この対比!

中はざっくりリノベーション。

お楽しみいただけたでしょうか?
2011年も、さらに「アツい!」物件を紹介して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

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