2013.4.23 |
|
第2回「奥に行くほどプライベート、グラデーションで空間を味わう」
下町の空気が残る西大島。都心から十数分圏の便利な立地と、親しみやすい店々が軒を連ねる、東京の両面性を兼ねた街だ。その適度な喧噪が住みやすさを物語っている。都営新宿線西大島駅の出口から50m、雨が降っていてもダッシュでOKな立地に、Open A/東京R不動産で新築の集合住宅を企画設計した。
内覧会は終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました。
まず間取りを見て欲しい。
奥行きが約12.6m、幅が約3.6mの深い空間を利用して、壁で仕切らず柔らかくゾーニングしてみた。右が玄関、左がバルコニーだ。
手前ほどパブリックで、奥に行くほどプライバシー度が高まる。
この間取りは、44.58平米を、なめらかに続く4つのゾーンで構成している。
最初の玄関エリアは、ワイド1.1mの大きな可動棚がある。かさばる靴をずらっと収納可能。ここは帆布(布のスクリーン)による目隠しで、空間に柔らかさを与えている。狭苦しくなりがちな玄関自体を、大きな収納の空間として捉えてみた。そもそも、従来の都会のマンションは靴などを入れる玄関まわりの収納が小さいのが気になっていた。ここではそれを一気に解消。
次に出てくるのがダイニングエリア。
細長い空間に平行な、縦長のアイランドキッチンをつくってみた。
目の前に窓があるので光が柔らかく差してくる。料理をしながら外の気配を感じる、窓に沿ってコンパクトなテーブルを置くことが想定されている。朝の光で朝食なんてどうだろう。
その奥にはリビングエリア。
ソファーやローテーブルを納めるのにうってつけの空間だ。部屋の幅が3.6mで、ゾーンとしては5畳半くらい。しかし空間的にはダイニングや寝室につながっているので体感は広い。こじんまり収まりながら、広さを感じることができる空間だ。
一番奥はベッドルームのエリア。
バスルームと一体化した空間なので、プライバシーの度合いが高い落ち着いた空間になっている。洗面室には外に開いた窓があり、朝の陽を浴びながら支度ができるのは気持ちいい。
ベッドルームとバスルームは、ホテルのように本来ひとつにまとまっていて欲しいと思ったことはないだろうか。都会のマンションでそれはなかなか難しい。ここではバスルームを大胆にバルコニー側に持ってきたことで実現することができた。
小さいけど、気の利くアイテムが各所にちりばめられている。傘掛け用のバーや大きな姿見、鍋などを引っ掛けるフックなど。あると便利なものたちだ。
この部屋は空間の奥行きがそのままエリアを構成している。
その間にはっきりした区切りはないけれど、なんとなく機能によって空間が分節され、そのゆるやかな連続性がポイント。もしこれを壁で区切っていたら窮屈だったはず。
エリアでゾーニングされた間取りの、伸びやかさを感じて欲しい。
このプロジェクトには全部で4タイプの間取りがある。今日紹介したのはその2つ目。
奥に長い間取りは一見、単調になりそうだが実は奥に行くにつれ、さまざまな生活のシーンが展開し、多様な表情やライフスタイルを生むことができる。「うなぎの寝床」という言葉があるが、細長い空間を使いこなすのは日本の伝統かもしれない。
下記がそのバリエーション。今後もひとつずつピックアップして連載していく。
■内覧会の詳細
内覧会は終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました。
日時:2013年 4月28日(日) 13:00 ~ 16:00
※当日は13:00~、14:00~、15:00~の3回、Open Aの馬場と東京R不動産のスタッフから住まい方や、デザインやコンセプトについての説明も行います。ぱっと見はわかりにくいプランですが、設計者の想いを感じていただければ。
※ご来場希望の方は、ご希望のお時間をご記入ください。折り返し担当者からご連絡を差し上げます。
会場:レスピール西大島