



第2回「緑と水を感じる京都」賀茂川
前回紹介した「西陣」は手頃な京町家に住めるという点で京都R不動産がおすすめしたいエリアだった。続く第2回では、緑や水辺を感じられる環境の中で暮らしたい方に向けて、「賀茂川周辺」エリアをご紹介したい。
京都を代表する景観である「鴨川」は、実は「賀茂川」と「高野川」という2つの川が合流してできている。京阪電車出町柳駅付近でひとつになり、そこから南を流れる川を指しているのだ。
今回おすすめしたい「賀茂川」は、北西方向から上賀茂神社のそばを通って、京都市営地下鉄北山駅、北大路駅の付近を通って高野川と合流している川のことだ。よく見ると、川の名前と同じくエリアの北と南にある上賀茂・下鴨両神社も「かも」の漢字が違っている。

では、なぜ同じひとつの川なのに区別してお伝えするかというと、「賀茂川」と名前を変えてからは、街の雰囲気がガラッと変わるからだ。
「鴨川」周辺は街中なのでマンションやビルが川際まで建っていて、ちょっと人目が気にならなくもない。が、「賀茂川」になると、両岸に大きく高い街路樹が並んでいて視界から建物が消える。街や車の喧騒も薄れていき、たっぷりの緑に囲まれる。


僕は学生時代に上賀茂神社よりさらに北のエリアに住んでいて、自転車で出町柳付近にある大学に通っていたから、思い思いに「賀茂川」で過ごす人を見てきた。春には花見をする人たちがいて、夏には上半身裸で日光浴をしている人もたくさんいる。(まず京都の他の地域でそういう人は見ない!!)川に入って水遊びする小さな子どもを見かけるのも決まって「賀茂川」の方だ。
この辺りの地域的特徴がわかるように、いくつかのエリアに分けてみることにする。賀茂川に加えて、府立植物園や糺ノ森(下鴨神社)といった身近な自然を普段の生活に取り入れられるところが魅力だが、街の雰囲気や住んでいる人の傾向は少しずつ違う。

(1)出雲路エリア
最初のコラムで、かつて洛中洛外を行き来する入り口に「●●口」という地名が使われたとお伝えした。このエリアには市営地下鉄鞍馬口駅がある。そのことからもわかるように3エリアの中でも歴史が古い。
細い路地もあり、子供からお年寄りまで、昔からの住人が静かに暮らしている。近所には大学もあり、京都市営地下鉄と京阪電鉄の2線にアクセスできて、自転車で街中にも出やすいので、単身者用のマンションや、戸建ての賃貸物件なんかを見つけやすい。

(2)小山・下鴨エリア
この二つの街は性質が似ているのでまとめて言及しよう。賀茂川を挟んで、西にある北区小山や東にある左京区下鴨と聞けば、誰もが「いいところやねぇ〜」と唸ってしまうようないわゆる高級住宅街だ。
都市計画にのっとって街ができ上がり、大きな家が建ち並び、道も広くて住んでいる人は車の生活をしている。住宅地になった年代がズレているから、建物と街並みの雰囲気は少し違っている。
北区小山では、庭の松が塀を飛び越えるような、立派な御屋敷風の建物が目につくのに対して、左京区下鴨は車が何台も停められるような、大きな築浅物件がある。建物の外観と同じように、住んでいる人の世代も北区小山の方がやや上だ。建物の高さ規定が厳しくなるため、マンションの数は減り、戸建ての売買物件が中心で、賃貸は少ない。

ちなみに、下鴨は糺ノ森(下鴨神社の敷地内)という広い緑地がある。世界遺産の森を通りながら毎日通勤・通学、なんて粋なことができちゃう場所だ。京都にはこういう普段使いができる史跡がたっぷりあるので、おいおい紹介していこうと思う。

(3)上賀茂・北山エリア
京都の街中とは特に違った雰囲気を持っている街。街としての歴史は最も浅く、1980年代後半からファッションの街として活性化し、多くのアパレルブランドがショップを構えたことから、かつては「京都の代官山」と呼ばれていた。
当時は買い物に来るところだったが、今ではその賑やかさも落ち着いて、ゆったりと子育てしたいというファミリー層に人気の街に変化している。昼間には子どもを連れながらカフェでランチをするお母さんたちを見かけるようなところだ。おすすめは、エリアの中心を走る北山通り沿いの物件で、通りの街路樹と植物園の緑を窓から借景できるのがポイントだ。たまに賀茂川の川岸の賃貸物件なんかも出ることがある。


今紹介した3エリアは、どれも10分ほど歩けばヒョイッと違うエリアに移動ができるくらい近接している。知らずに歩いているといつの間にか街の雰囲気が変わって「あれ、さっきまでの街並みと歩いている人の感じが違うな」と思うだろう。どのエリアも水と緑をとびきり享受できるが、その範囲の中でも少しずつ暮らし方が違うのが京都の面白いところだ。賀茂川を身近に感じる暮らしをお楽しみください。
2017年1月20日、京都R不動産がオープンしました。
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