news 2013.2.26
 

家の展覧会「HOUSE VISION」にて『編集の家』を建てます。(後編)

荒川公良(R不動産toolbox)
 
3/2(土)~24日(日)、お台場・青海で展示される家の中身とは?3/5(火)、3/9(土)、3/10(日)、3/18(月)の4回、会期中にトークセッションを行います! 

※イベントは終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました!

自分の家を住まい手が考えながらつくる

57,586,000戸。これは日本にある住宅のストック数。そのほとんどは大抵同じようなnLDKの間取りとして供給され、古くなれば元通りにリフォームされてきた。けれども、この画一化された住宅は、どうも僕らの理想とする住まいとはかけ離れている。もしも、壁や天井を全部取り払って、まっさらな状態から、自由に空間を編集できたなら。。。
そんな思いから、僕らの「編集の家」づくりがはじまった。

まずは80平米の古いマンションを初期化して、スケルトン空間を作り上げる。その中身を既成概念にとらわれることなく、まったく自由な発想で、自分のリアルな生活にあったかたちを再編してみたらどうなるのか?僕たちならではの家を考えてみた。

間取りの編集

手に入れられるマンションの部屋の面積は限られている。その中に過剰に壁を立て、チマチマと部屋を小分けにしたのでは、部屋はどんどん狭くなる。僕らが住みたいのは広い空間のある家。だったら、いっそのこと部屋の壁を取り払い、家全体が大きなワンルームだったらどうだろう。

余計なモノをたくさん抱え込んで、いろんな部屋に押し込むのではなく、大切なモノだけに囲まれたスッキリした生活。部屋に閉じこもるのではなく、家族やパートナーの気配を感じられる空間。
そんなことを考えて、究極たどり着いたのは、何もないワンルームだった。その中に生活の要素を散りばめてみる。

キッチン×デスク

広い空間が用意できたのなら、まず置きたいのは大きなテーブル。これだけ大きければ、食事も勉強も仕事も同じ場所でできる。料理が行われる目の前で、テーブルは家族が囲む巨大なプラットフォームになる。

リビング×バスルーム

ソファに寝転んでゆっくり映画を見たい。できれば、脚を伸ばして湯船に浸かりながら見られたら・・・。バスタブとソファを同じ部屋に置いて、バスルームでもありリビングでもある空間はつくれないだろうか。家族がリラックスするための場所をつくる。

ベッド×押入

空間を広くするためには、どこかを狭くする必要がある。寝室は寝るだけと割り切って最小限にしてみたら、ベッドを一人で占領できて、寝る時間がずれることに気を使わなくても良くなる。

個室×ブース

家族の気配を感じる空間は心地よい。けれども一人で集中してやらなければいけないこともある。キャスター付きのブースなら、静かな場所に移動して、一人でこもれる。壁がない広いワンルームだから必要な部屋。

書斎×トイレ

トイレだけは誰にも邪魔されない究極の個室。壁全面を本棚で埋め尽くせば、トイレは長時間過ごせる自分だけの居心地のよい書斎に変わる。さあ、トイレをどんなコンテンツで満たそうか。

収納×壁

広い空間をつくるときに悩ましいのは収納。30cmの厚さの壁を用意してその中全てを収納にする。服も靴も食器も本も全部納められれば、必要最低限のものだけが置かれた簡潔な空間が広がる。


半分冗談のように思えるアイディアたち。けれども、開催に向けて着々と工事が進む現場で、実際に原寸大のかたちがあらわれてきた今、この家は実はすごくリアリティがあって、住みたいと思う人がけっこうそれなりにいるのではないかと思えてきた。少なくとも僕にとっては理想に近い住まいである。
当たり前の家の形とは違うから、ここに住んだら戸惑いも多いかもしれない。けれども、欲望に素直になって形づくることで自分だけの家が生まれる。

この展示で一番伝えたいのは、見てくれた人が自分の家だったらどうするか、他にもこんなことがあり得るのではないか、自分だったらこんな色を付けたいと、考えてもらうことである。そのために、空間の中はすべて白くした。いろんな素材が登場するけれども全て白である。
誰かが決めた家に住むのではなく、自分で生活の仕方や、素材、かけるコストを考ながらつくる家。 住まい手が自ら編集する家。そんな家が、この先どんどん増えて欲しいと思うからこその「編集の家」である。

素材の編集

この家は僕たちが形作った家だが、これはある意味、皆さんへの挑戦状です。
ぜひ、この空間を見て、より自分の理想に近い家を想像してみて欲しい。
その手助けとなるように、この家の裏にtoolboxショールームをつくりました。
toolboxで売られている建材やパーツ、器具を中心に200点以上を集め、宝探しをするかのように膨大なアイテムたちを並べます。
いろんな素材の中から、自分の暮らしに役立ちそうなものを探し、取り入れたい好きなモノを選んで見てください。
きっと自分で編集した自分だけの家が出来上がります。

トークセッションのお知らせ

会期中に計4回のトークセッションを行います。
家のこと、生活のこと、建築のこと、そして「編集の家」づくりで考えたことなど、住まいにまつわる内容をいろいろな角度から、他のパネラーの方と話をしていきます。モデレーターは原研哉さん、土谷貞雄さん。
こちらもぜひ参加して下さい。

HOUSE VISION会場イベント
※イベントは終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました!

3月5日(火)18:00-19:30 蔦屋書店×東京R不動産(馬場正尊、吉里裕也、林厚見)
3月10日(日)16:00-17:30 暮らしの良品研究所×大島芳彦(blue studio)×東京R不動産(馬場、吉里)
3月19日(火)18:00-19:30 川添善行(建築家)×西村 浩(建築家)×馬場正尊

ご購入URL:http://house-vision.jp

代官山 蔦屋書店 関連イベント

3月9日(土)19:00-20:30 『編集の家~出展テーマ~』馬場正尊×吉里裕也×林厚見

名称: HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION
会期: 2013年3月2日(土)~24日(日)・23日間
11:00~20:00(入場受付時間19:30)
会場: お台場・青海駅前 特設会場(臨海副都心J区)
アクセス: 「新橋」駅より、ゆりかもめにて「青海」(あおみ)駅下車:徒歩2分
URL: http://house-vision.jp

チケットの販売について
券種: 前売りチケット:
一般(1,500円)・学生(1,300円)・一般3回券(4,000円)・学生3回券(3,000円)
入場チケット:
一般(1,800円)・学生(1,500円)・一般3回券(4,500円)・学生3回券(3,500円)
ご購入URL: http://house-vision.jp

展覧会ディレクター:原研哉/企画コーディネート:土谷貞雄/会場構成:隈研吾[エキシビジョン・ハウス](参加企業×建築家)「住の先へLIXIL×伊東豊雄/「移動とエネルギーの家Honda×藤本壮介/「地域社会圏」未来生活研究会×山本理顕・末光弘和・仲 俊治[未来生活研究会]メックecoライフ(三菱地所グループ)、三井不動産レジデンシャル、野村不動産、ミサワホーム、東芝、ローム、KDDI研究所、日本ペイント、昭和飛行機工業/「数寄の家」住友林業×杉本博司/「家具の家」無印良品×坂 茂/「極上の間TOTO・YKK AP×成瀬友梨・猪熊 純/「編集の家」蔦屋書店×東京R不動産/[垂直環境緑化]サントリーミドリエ×東信

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