column 2013.11.7
 

昭和の下宿を現代のシェアハウスに。この空間、あなたならどう使い、どう住む?

馬場正尊(東京R不動産/Open A)
 

改装前に、内覧会を行うことになりました。見学、歓迎!

内覧会は終了いたしました。たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。

元下宿の建物。雰囲気ある佇まい。

古い空間を、新しいシェアの風景に

今度、東京R不動産を共同運営しているOpen Aが、中野の閑静な住宅街にある古い下宿の改装に関わることになった。
昭和32年に建ったこの下宿は、たくさんの大学生や社会人たちが青春時代を過ごした空間だ。まるで昭和のドラマにでも出てきそうな典型的な木造の下宿で、この空気を残している建物にはなかなか出会えない。
今回、この物件で、新しいシェアのかたちを模索しようということになった。
そもそもシェアハウスとは、おそらくかつては下宿と呼ばれていたのではいか。
では何が違うのか?
古い空間の、新しいシェアの風景を、このプロジェクトでは見てみたい。

1階の和室。8畳と6畳が2間続きになっています。襖を開け放つとドーンと広い一室に。

家主の手元には、当時の住人たちの集合写真や、卒業した後にもずっと届き続けた年賀状が残されている。そのセピアになったハガキがとってあるのを見ながら、人生のある時期に生活空間を共にすることの意味を考える。
実は、この原稿を書いている私(Open A/R不動産の馬場正尊)も最近、偶然に高校時代に下宿していた場所にフラリと再訪する機会があった。
当時の建物はそのまま残り、また30年分歳を重ねた下宿のおかみさんと再会してしまった。空間の面影と、優しかったおかみさんがそのままだったのを見て、涙が止まらなかった。
「中野の下宿を、雰囲気を残しながら使えるように改装して欲しい」という相談を受けたとき、個人的なこの記憶も重なってしまい、迷う間もなく「ぜひ!」と答えてしまっていた。

床の間もあります。菱形と麻柄の組物がしつらえてあり素敵。

この下宿空間が最高にいい。
あまりにも味わい深いので、水回りや一部くたびれてしまった箇所を補修する前に、このままの状態で一度、公開してみようということになった。

改装してただ普通に貸すよりも、住み手はこの空間を理解し、「できれば雰囲気を継承して欲しい」という家主さんの気持ちを感じてくれる人がいい。
だとしたら、まず改装前の、そのままを見ていただき、使い方や住まい方について、設計を担当するOpen Aにその気持ちを伝えてもらおう。そんな気分だ。
11月15日(金)の夕刻から、改装前の内覧会を行うことになった。(内覧会及び物件の詳細は記事末尾にあります)

庭には四季折々の花が。右の写真は8月の様子。百日紅が満開でした。

1階平面図。今回の募集は白い部分の範囲になります。グレーの部分は、施設共用部となる予定。(図面をクリックすると拡大します)

懐かしい佇まいの細い廊下を抜けて、正面奥の階段から2階に上がります。

1階部分 コミュニティーのハブ的な存在に

この木製の玄関をガラガラと開く。建物の状態がいいのでスムーズだ。
目の前には、いかにも下宿という階段が姿を現す。

1階には家主の家族が住んでいて、上に住む下宿人たちの面倒を見ていた。
今回、改装した後も、1階を使う人は2階の下宿人たちをゆるやかにつなぐ役割を担って欲しい。このシェアハウスの、そして地域のコミュニティーのハブであって欲しい。
賃貸面積は約65平米(66.8平米)の広さがあり、縁側のある庭に面した和室。
この雰囲気を残しながら、空間をどう使うか、いろんな可能性がある。

庭を眺めながら縁側にたたずむ時間は、ちょっと東京にいることを忘れさせそうだ。

2階。細長い廊下の両側に4畳半の和室が6室並んでいます。作業部屋として使うか、書斎にするか、ゴロゴロしながら読書するか…

2階部分 小さなアトリエや書斎などに?

家具なんかもそのままにしておこうかと考えている。
この小さな空間に木の机と椅子を置いて、静かに小説を読む。そんな時間をつい、イメージしてしまう。BGMは70-80年代のロックだろうか。「音楽と文学」、そんな世界観が宿っている(あくまでも筆者の妄想)。
ただ住むのではなく、例えば大人の隠れ家としての使い方もある。
小さなアトリエや、作家が原稿を書くにもいい空間のように見える。
とにかくじっと集中したり、自分を見つめたりするのに、うってつけ。
部屋の雰囲気が妄想をかき立てる。

次々に新しい大学やオフィスビルが建ち、変化のまっただ中にある中野。
その喧噪からほんの数分、離れた場所にはまだこんな空間が存在する。
その新旧の混在が中央線、中野の魅力なのだと思う。
かつて数々の文化や人材、音楽や文学を生み出したこの街が、また新しいフェーズを迎えようとしているようだ。

懐かしい昭和の下宿の空気を味わいたい方(たぶん、45歳になった私もこっち)。なんでもいいから興味がある方。そして、かつてここに下宿していた方! 大歓迎です。
秋の夕暮れ時に、しっとりとした空間を味わいに来ませんか?

■内覧会のお知らせ
内覧会は終了いたしました。たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。

1階部分の入居者募集内覧会を開催します。空間に興味のある方、場所を見ながら使い方を考えてみたい方、お気軽にどうぞ。
※当日はOpen Aの馬場と東京R不動産のスタッフが現地で説明をさせていただく予定です

日時:2013年11月15日(金)15:30~17:30
参加費:無料(要事前予約)

申込方法:問い合わせフォームより「中野内覧会参加希望」とお書き添えいただき、お名前、参加人数、メールアドレス、携帯電話番号をご明記の上、お送りください。折り返し担当者からご連絡を差し上げます。

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