2010.5.11 |
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"いつか"を"今"にする店舗物件
「いつか、小さくてもいいから、自分のお店を持ちたい......」そう思っている人は多いのではないだろうか。今回ご紹介するのは、そんな人にとっては理想的な事例かもしれない。
1月20日にオープンした北欧雑貨ショップ「klala」さん。
東京R不動産で「アトリエを持とう!」というタイトルで募集されていたこの物件。木の外壁とエントランスの植栽がほっこりとした雰囲気を出している3階建ての戸建の1階部分、約15平米の小さなスペースだ。
もともとは、2,3階にお住まいになっている大家さんが、将来お店を出したいということで設けられたスペースで、それまではどなたかに貸し出すことにした、ということらしい。
物件を仲介した担当者いわく、ギャラリーやシルバーアクセサリーのアトリエ兼ショップ、絵本販売、ヘアサロンなどなど、とにかくいろんな業種の方からたくさんのお問合せをいただいたという超人気物件だった。
外のグリーンもいい感じ。
左:募集時はこんな感じ。もと花屋さん、その後帽子屋さんとして使われていました。右:現在はこう。ベースは何も変わっていない。
そんな物件に入ってくださったのは、北欧雑貨のセレクトショップ「klala」。主にスウェーデン、フィンランド、デンマークといった国々のヴィンテージの食器やオブジェなどを扱っている。もともと北欧の古い食器や雑貨が好きで、最初は自分のために買っていたが、いろいろ集めていくうちにだんだんコレクションが増えてきたため、販売してみようと6年前にウェブショップをスタートさせた。
「好きなものだけでお店をつくりたかった。ウェブショップをオープンさせた当初から、いつか実店舗を持ちたいという気持ちはありましたね。とはいえ、お店を開くために具体的に準備を進めていたわけではなかったんです。ただ、R不動産のサイトは毎日チェックしていて。ここが募集されていたのを見て即問合せをしました。空間の雰囲気とお店の規模感がちょうどぴったりだったので」
賃料は、なんと10万円以下。はじめて実店舗を始めるには、広さ的にも賃料的も背伸びしすぎない、ちょうどいいバランスだった。普通の店舗物件だと、もう少し規模が大きいものが多く、また同時にもう少し賃料が高くなる。ここはメインストリートから少し入ったところにある住宅地という立地であること、もともと大家さんが収益を得ることを目的として貸しているスペースではなかったこともあり、店舗物件としては手頃な賃料設定なのだ。
しかも! ほぼ居抜きの状態で、建物自体も絵になる空間だったため、改装をする必要はまったくなく、棚などの什器を入れただけ。世の中にある物件は手を入れないと使えないというものが多い中、この物件はそういった意味で本当に特殊だった。
「開業資金が奇跡的に安く済んだというのが、すごく良かったですね。入居する際の初期費用と什器や備品など合わせて100万円。ウェブショップで商品の在庫は持っていたので、あとは多少の仕入れをしたくらいでした。ここに入れたのは本当にラッキーでしたね。まさかこんなトントン拍子で進むとは思わなかった」
"いつか"お店を開きたいという夢を叶えるタイミングは、この物件に出会ったことで"今"になったのだ。
エントランスは大家さんのご自宅の玄関と共用。
左:取り付けられたブランコと黒板も、いい感じ。右:エントランスで遊ぶ子どもたち。「こういう雰囲気もいいんですよね〜」
実店舗をオープンさせて4ヶ月。ここ「klala」では隔月ペースで、これまでに知り合った雑貨屋さんや、自分の好きなお菓子・パン屋さんなどに声をかけて、マーケットを開催している。最近では、他のお店からも参加希望の問い合せが来るようになった。大家さんもチラシを撒いたり、いろいろと協力してくれるらしい。
「むしろ最初は大家さんの発案だったんです。もともと、マーケットはやりたかったので嬉しいですよね。そんなに買いやすいものを置いているわけではないので、偶然通りがかったお客様に買ってもらうというよりは、このお店のセレクトを気に入ってくださった方が、わざわざ足を運んでくださる、ゆくゆくはそういうお店になれればいいなと思います。マーケットなどのイベントを通して、いろんな人に来ていただいて、まずは興味を持ってもらえるといいなと思っています」
近日マーケットを開催するそうです。ぜひ、足を運んでみてください!
klala
東京都世田谷区太子堂5-13-1-1F
TEL/FAX 03-5787-6927
営業時間 11:00~19:00
(定休:火曜)