ギャラリーとアトリエと家と
42平米のマンションの1室をギャラリー・アトリエ/居住スペースにリノベーションした。限られた空間でも、工夫の仕方を変えたりデザインのトーンを整理することで多彩な要素と用途を実現した事例を紹介。

ギャラリースペースでの展覧会の様子。コンクリート剥き出しのざっくり空間の中で、繊細なジュエリーがより一層輝きを増す。( 設計/OpenA Ltd.)
カフェや家具屋が並ぶ華やかな通りを少し歩いたところ、ありふれた外観のマンションにこの部屋はある。扉を開けるとマンションとは思えない空間が広がる。天井も壁も剥がし、床はコンクリートの土間を打っただけの、本当にスケルトンと呼べるような空間だ。コンクリート剥き出しの荒々しい中に、その対極となるような、キラキラとした繊細なジュエリーが並んでいる。ここはジュエリーのギャラリー。そしてアトリエであり、居住スペースでもある。

玄関の扉を開けると本が並んでいる。制作活動の参考にもなるという美しい本は表紙が見えるようにディスプレイできる。お客さんをお出迎えする本の演出。ギャラリースペースの奥のアト
こちらにお住まいになっているのは彫金家のIさん。もともと自宅兼アトリエとして使われていた。リノベーションするにあたっての要望は、自宅兼アトリエに、新たにギャラリーとしての機能を設けること。生活するための「居住スペース」、作品を作ったり彫金教室を行ったりするための「アトリエ」、作品を展示するための「ギャラリー」、この3つの要素で設計することとなった。42平米という広さを踏まえると一見無茶な企画にも思えてしまうが、いくつものプランをIさんと一緒に検討していく中でギャラリー・アトリエスペースをできるだけ広くして、居住スペースをだれだけコンパクトに収めるかということが焦点となった。それには水廻り(トイレ、キッチン、浴室、洗面)の考え方がポイントとなった。トイレはお客さんも使うし、キッチンはお客さんにお茶を出すために必要ということで、トイレとキッチンはギャラリー・アトリエスペースからのアクセスに。逆に、お風呂と洗面所は自分だけが使えれば良いので、居住スペースに配置した。


改修前の玄関、個室、アトリエスペース。天井が低く、小さな空間の連続で成り立っていた。

床、壁、天井などすべて解体後のスケルトンの状態。天井が高くなって、空間が広がった。コンクリートに埋まっていた配管も露出させた。
ギャラリーというからには不特定の人が訪れる可能性があるし、アトリエには彫金教室の生徒さんが訪れる。家の中のパブリックスペースといえる。そのためプライベートな居住スペースとは、はっきりと分ける必要があった。かといって、天井までの壁は空間を細分化し、狭小となってしまう。しっかりと境界を保ちながら、限られた空間をできるだけ広く見せるために、天井までは届かない壁で仕切った。上部空間だけでもつながりがあることで、空間は想像以上に広がりをみせてくれる。そして、この壁は全面の下地に合板を貼ったので、ビスを打ったりとギャラリーの壁として自由に造作できる機能をもつ。
また、モルタル仕上げの床は、土足OKで靴を脱がずにそのまま中に入ることができる。彫金のギャラリー・アトリエというパブリックスペースとしてぴったりな床仕上げだ。
パブリックスペースとプライベートスペースを隔てる白い壁には同化するようなドアがついていて、そこを開けると居住スペースとなっている。居住スペースは木を多用したやわらかい雰囲気、パブリックスペースの白塗装とは対照的だ。広さは約10平米で、6畳ほどの広さ。寝室とバスルーム、洗面、洗濯機、収納がぎゅっとコンパクトに構成されている。いかに立体的に積み上げて省スペース化するかに注意が払われた。たとえば、寝室は小上がりの上にダブルのマットレスがぴったりはまるように設計され、その下は全部収納になっている。洋服をかける収納は奥行きをとって、ハンガーパイプは2列。6畳の空間としてはたっぷりとした収納が用意されている。また、洗面所は浴室と一緒になっている2点ユニットバスを採用した。Iさんの思いきりの良い選択で、コンパクトでありながら、機能性の高い、コクピットのようなプライベートスペースになった。

パブリックスペースとプライベートスペースを隔てる壁。天井がつながっているため、空間の向こう側を感じることができる。木で仕上げられたやわらかい雰囲気の居住スペース。手前に収

左:ギャラリー・アトリエスペースにぽんと置かれたと黒い塊、一見それがなんなのかわからない。これは黒皮のスチールでぐるりと囲ったキッチン。スチールの質感もプラスされ、家庭っ
コンパクトな空間に多彩な要素と用途が盛り込まれ、様々なコントラストが感じられるリノベーションとなった。住宅という機能だけでなく、多様な用途も複合的に持ち合わせた、新しい居住の提案ともいえる。
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