WAREHOUSE
2年前はただの街外れのボロ倉庫。1年前には、壁も天井も床もない、鉄骨の骨だけが残されていた。それが今、メチャクチャカッコいい住居になっている。

2Fのメインスペース
この「住宅」を手に入れるのに必要なお金は、マンションよりも全然、安い。マンションの、半分の値段。普通のマンションはこの場所でも床一坪あたり最低でも200万円。でもこのWAREHOUSEは、床一坪あたり、100万円。それで土地も建物も全部、完全に自分のもの。これは大アリだな、と思った。
家を手に入れる方法や考え方って、実はたくさんあるし、本当はすごく「自由」なのだ。でもついつい大きな声で宣伝される新築分譲マンションやハウスメーカーの商品こそがスタンダードなのだと思ってみたり、はたまたちょっとこだわって、雑誌を賑わす「建築家に頼む狭小住宅」がおもしろいぞと思ってみたり、ともかくも情報にはどうしても左右されてしまう。
このWAREHOUSEの持ち主は、周りの情報に影響されることなく、すごく素直に考えた。
「細切れのプランは好きじゃないな」
「寝室が分かれているくらいでいい」
「車とバイクが置ける場所が家の中に欲しい」
「枝川のあたりって一度通ったけど、何となくおもしろい」
「倉庫みたいなのでも、かまわない」
・・で、枝川に倉庫が見つかった。何もない、ただのボロ倉庫。でも、だからこそ安い。2000万円のリノベーション費用は見方によっては高くも見えるが、結局、普通のマンションの値段で、160平米(3LDKマンションの2倍)の、自分の理想の空間を手に入れたのだ。

改装前の姿
家を借りるのでも買うのでも、日本ではみんなで一生懸命オシャレな新しい店に通っているような感じ。それで高いお金を払って、意外にそれほどおいしくない食事をして、でも「あのビルの最上階、行ったんだ」って自慢して、なんとなく満足してる。ほんとは手料理だって楽しくできるし、おいしいし。曇りガラスを下から照らした「オシャレな創作和食」で飲まなくたって、ホームパーティーやバーベキューの方がずっと豊かだったりするのに。
要するに、つくりたいものをつくればいいのだ。欲しいものを素直にイメージして、それがどう手に入るかちょっと考えてみればいい。それだけのことなのだと思う。確かに全てが思い通り(特に、値段)というわけにはいかないのだろうけど、少なくとも「与えられる」ものよりは楽しく満足できるはず。想像力さえ、あれば。
R不動産に載っている物件も、写真を見るとどれも「さえない」もので、いわゆる「デザイナーズ」物件のインテリア写真とは程遠く見える。でも実は、リノベーションをかければ、すでにつくられたカッコよさよりも、ずっとかっこよくなってしまうのだ。全体の平面(床の形)、柱の位置と梁の位置、そして階高、あとはせいぜい窓の位置くらいが決まっているだけで、あとは全部変わってしまう。床の材料、壁の色、天井、照明、窓、そして間取りさえ。とびきりオシャレな内装のレストランも、内装前はほこりだらけのハコなのだ。
この間とある倉庫の会社にこのWAREHOUSEのビフォア・アフターの写真を見せた。そうしたらその「倉庫のプロ」は目を丸くして、「これはすごい。。コピーさせて!」と興奮していた。プロだってそうなのである。まずは自分の想像力で素直に考えてみるのが、結局一番いいのかもしれない。
なおこのWAREHOUSEの施主曰く、「生活には何の不便もないですよ。強いていえばトップライトの部分に雨があたるとちょっと音がするくらい」とのこと。「ごく普通の生活」が豊かに営まれている。
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