2014.9.16 |
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新しい宿泊の形を考える in 房総
これまで僕らは、日常の暮らしにちょっとしたスパイスを与えるような物件を提供してきた。そんな中でときどき「この物件に泊まってみてー」と、思うような物件に出会うことがある。
だったら、実際に泊まれる機会をつくれるのも、R不動産ならではの仕事なのかもしれない。そんな想いで始まった、宿泊プロジェクト。
第二弾も、房総からお届けします。
僕らにとって、房総という場所は、色々なことを試すことのできる特別な場所なのもしれない。これまで房総エリアでは、いくつもの実験的なプロジェクトを行ってきた。
今では独立したサイトになった「房総R不動産」や「稲村ヶ崎R不動産」。その前身である「リラックス不動産」は房総の物件を紹介するところから始まった。コンセプトは、「東京から1時間半くらいで行ける気持ちの良い物件を紹介する」こと。
当時の僕らは、なんだか東京での生活に疲れていて、自然の中に身をゆだねる感覚が大切だと気づき始めた頃で、東京から近くて、海も山もあって魚が美味しくて、コンパクトな自然がちょうど手頃な房総の魅力にとりつかれてしまったのだ。
そしてもう一つ。「トライアルステイ」も、房総から始まった実験的なプロジェクトだ。これは、移住や2拠点居住を考えている人たちに、地域の魅力的な空き家を賃貸して、試しに生活してもらおうというプロジェクト。実際に通勤してみたり、海の近くで過ごしてみたり、地元のスーパーで食材を調達してみたりと、短い期間ではあるけれどその地域で生活してみる。そうすると、良いところだけじゃなく、合わないところも見えてきたりするのだ。房総で始めたこの試みは、今では福岡の筑後エリアや糸島エリアでも展開している。
そしてこの夏、またしてもここ房総から、新しい試みを始めることになった。それが今回の「新しい宿泊の形を考える」プロジェクトだ。
まずは、8月から始動した馬場の私邸、「房総の馬場家」。そして今回新たに登場するのが、大きな池に面したウッドデッキのある小さな家。僕らが「房総R不動産」を始めようと思っていた時に出会い、思わず買ってしまったこの小屋は、通称「ボートハウス」と呼ばれている。
本来の言葉の意味とは違うのだろうけど、水面に張り出した桟橋があったことから、いつしか「ボートハウス」と呼ばれるようになったこの家。目の前に広がるのは農業用のため池で、魚もいる。この水辺の景色を最大限に感じたいと思い、元は小さなバルコニーと庭だったところに、大きなウッドデッキをつくることにした。
一方で、部屋の中はほとんど手を入れず、簡素な古い小屋のまま。だからこの物件は、キャンプ感覚で利用するのが良いかもしれない。別荘というより、キャンプ場のバンガローのような小屋、というわけだ。
でも、水辺の風は気持ちよいし、鳥のさえずりや、カエルの鳴き声がうるさいくらい聞こえてくる。そして実は海も近い。歩くとちょっとあるけれど、近くのサーフポイントまでは車で10分ほど。なのに駅から歩ける距離にある。まさにここは房総のコンパクトな自然の気持ちよさを体験できる場所なのだ。
最近僕らは、旅や休暇に求める経験の種類が変わってきたのを感じていた。かつては感動や異空間を求めていたけれど、今はしみいるような時間や、何気ない風景のなかに美しさを感じたりする。
例えば、特別なレストランより、地元の人々が普通に通う居酒屋で街の息使いを感じたい。ライトアップされた観光地と同じくらい、路地で子どもが遊んでいる風景が印象に残っている。
地元のスーパーマーケットに行って、どんな食材がどのくらいの値段で売っているのかを見ながら、新鮮な地モノで自ら料理を作ってみる。
観光ではなく、リアルな日常を感じることに、僕らの旅は変わってきたのではないだろうか。では今の日本で、そんな旅にあった宿とはどんなものだろう?
ホテルや旅館で感じるお客様感覚ではなくて、もう少し日常に近い、勝手気ままな宿泊の形がないだろうか。そんなことを、R不動産のスタッフの間でよく話していた。
僕らはこれまで、東京をはじめ色んな場所で、日常の暮らしにちょっとしたスパイスを与えたり、ホッとする隙間を見つけられるような物件を提供してきた。
物件は住む場所なので、ある意味、究極の日常空間だ。でもときどき、「この物件に泊まってみてー」と思うことがある。ずっと住むのはちょっと……。でも数日間なら楽しそう。そんな物件に出会う。だったら、そこに泊まる機会をつくれるのも、R不動産ならではの仕事なのではないだろうか。
そんな想いで、僕らはまた房総に通い始めた。
そしてこれからも房総で、全国に増えた仲間たちのところで、そしてまだ見ぬ素敵などこかで、少しずつ泊まれる場所を増やしていこうと思っている。
まずは房総でのんびり過ごしながら、僕らが考える旅の形を楽しんでもらえたら嬉しい。