column
2009.2.24
家を変えよう 楽しく働く

「八丁堀Co7」

諸町美樹子(東京R不動産)
 

一見、カフェかお店のように見えるこの建物は、今から40~50年前に建てられたという年季の入った物件。 ここをリノベーションし、「住居」兼「事務所」として使っているのが"CO7"だ。そのメンバーが先日行なわれたCET04※の打ち上げで集まっているということで話を聞きにやってきた。

※CET04 … セントラルイースト東京。神田、馬喰町、八丁堀周辺で2004.9.17~9.26まで開催されたアート、デザイン、建築等の複合フェスティバル。

――そもそもCO7を始めたきっかけは何だったのですか?

学生時代は建築を勉強していて、その時の先輩が同じ八丁堀で古い建物をリノベーションして住んでいると聞いて、もともと興味を持っていました。実際には就職が決まって、郊外の実家から仕事に通うのは辛いけど引っ越すにもお金がない。そこで、みんなで借りて安くシェアしたら良いのではないかと思ったんです。ちょうどそこに飛騨の高山で家具製作を勉強していた弟が帰ってきて東京で仲間と工房を始めると言うので、その仲間の住まいにもちょうど良いし、弟の友人でやっぱり家を探していた人がいたので、じゃあみんなで上手くお金を配分してやっていこうと決まりました。

BEFORE AFTER

――この物件に出会ったときどう感じましたか?

「イケル!」と思いました。

そこはやっぱり僕らとではギャップがあって不動産屋さんは「ここに住むの?」って驚いていました。もともとは建物が老朽化してしまっているので2階は使えないでしょうということで、1階だけで倉庫として使ってねという貸し出しでしたから、お風呂もキッチンも無い。かろうじてトイレだけはあるという状況だったので人は住めないだろうと。常識的に考えたらそうですよね。そこに住むと言い始めたから、「ハッ?」って目を丸くされて(笑)

第一印象で一般の人は多分「えっ?」って引くだろうけど、僕らは汚いのを前提で探していたので、造りが良い上に2階に部屋が作れるし下も事務所などに使える、逆にこんな良い環境は無いなと思いました。僕等は賃料はそのままで2階も使わせてくれとお願いして、床に穴が開いたり何か問題が起こって怪我をしても、きちんと自己責任でやりますということで了解をもらいました。

――学生時代に建築を学んでいたということでもともと知識があったと思いますが、実際にはどのように進めていったのですか?苦労した点はありました?

どちらかというと最初に完成形を考えて作った訳ではなくて、必要に応じて作るという感じでしたね。一番初めは、住むとなると最低限必要なお風呂やキッチンから作り始めました。幸い建築関係に知り合いがいて、解体現場で要らなくなったバスタブがあると聞いて慌ててもらいに行きました。

僕等も大体はどう作業すれば良いのかわかるのですが、床を貼る時のくぎの打ち方なんて知らなかったし、そこは実際に木工職人として普段から作業をしている人の力が大きかったですね。ガスの配管などプロじゃなければ出来ないところはプロにやってもらいました。あと、うちの親が工務店をしているので手伝ってもらったりしながら、2~3ヶ月で一通りやってとりあえず住めるようになりました。

何が大変かと言ったら普段は会社に勤めているので仕事の隙間を縫って、ある程度の人数を集めて作業するということでしたね。日程が合って作業が出来る2~3人が集まって少しずつ進めていきました。入居日が去年の4月で、この状態になったのが9~11月くらいなので6・7ヶ月掛かっていますね。

八丁堀・亀島川のほど近くの路地を曲がると "CO7"と書かれた灯かりが目に飛び込んでくる。

――実際、今の状態になって住んでみて感想はどうですか?何か変化したことはありましたか?

すごくゆったりしていて居心地良いですよ。例えば普通に座っているだけでもオープンカフェみたいに人が通っていくのを見ながらお茶を飲んだりとかして。外から見ると気になるみたいで、めっちゃ覗かれますけどね。特に工事していた時は「何やってるんだろう?」って感じで立ち止まりはしないけど、歩きながらすごく見てるんですよ。

去年のTDB-CE※で近所の不思議がっていた人達が「何やってるの?」って訪ねて来てくれて「こういうことだったんだ!」みたいな。制作期間中に自分たちでも知らず知らずのうちに宣伝をしていたみたいで「気になってたんですよね」って言われました。

基本的に下の階はオープンで誰でも入ってきてみたいな感じですから、時々近所のおばちゃんがガチャって突然鍋持って入って来て、コンロに火つけてから「余っちゃったから食べて」って言うんですよ(笑)。

ありがたい話でそういう近所づきあいがこういう古い町には残って、そのコミュニティに入れていただいたんだなって感じますね。僕らの世代ってそういう関わりが少ないと思いますけど、こういうやり方だったからその輪の中に入れたのかなと思いました。

※TDB-CE … 2003年11月に行なわれた東京デザイナーズブロック・セントラルイースト。今年からその名前が「CET」へと変わった。

――今後CO7をこうしていきたいという方向性はありますか?

1階のこのスペースに関して言うと用途というのを全然考えていなくて、リビングであったり仕事場であったりあるいは店舗であったり展示場であったり、用途がどんどん変わっていって常に新しくなっていくのが良いかなと思っています。特にCO7の仲間はよくここで話をすることが多いので 何かを生み出す拠点として、コラボレーションしたパワーで何かを生み出せればなという気持ちはありますね。一人一人のネットワークを取り込んでいって大きくしていければなと思っています。

沖縄みたいに通りすがりの人が何気なくふらっと立ち寄って、「じゃあ、お茶でも飲んでいきなよ」みたいな。そういう風になると良いなと思います。ここには家具を作っている人やサボテンを売っている人がいたり、客商売の人も多いので、そうやって来てくれて話しているうちにそこから「今度仕事頼むよ」って感じで繋がっていくと一番良いかなと思いますね。

CO7のみなさん … 左から時計回りに青山さん、松山さん、川鍋さん、下田さん、田木さん、佐々木さん、小谷さん

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