2015.4.7 |
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新しいパブリックをデザインするために
これからのパブリックデザインを考える本『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』が発売。新しいタイプのパブリックスペースをつくる6人の実践者たちへのインタビューから、その方法論を分析。そこに浮かび上がるのは、新しい資本主義の姿でした。
本の発売に合わせて、全国4ヵ所でのトークイベントも開催。ぜひご参加ください。
※イベントはすべて終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました!
(左)『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』表紙。 (右)これからのパブリックデザインに必要な6つの要素のダイアグラム。
おそらく僕たちは今、大きな社会システム転換の入り口に立っている。 だから、新しいパブリックスペースをつくるための具体的な方法論を探すために、僕はこの本を書いた。
まずは今までの常識とは少し違う方法で、しかし着実に、新しいタイプのパブリックスペースをつくり、運営し、継続しているケースを探してみる。そして出会ったのが、この6人の手掛けるプロジェクトだった。
木下 斉 地域経営
松本理寿輝 教育・まちづくり
古田秘馬 プロジェクトデザイン
小松真実 金融・コミュニティー
田中陽明 クリエイティブプラットフォーム
樋渡啓祐 政治・行政
僕は、パブリックデザインの具体的な方法論を探すため、この6人の実践者たちにインタビューをし、パブリックスペースやプロジェクトを実際につくり上げていくプロセスを学ぼうとした。そしてさらに、それをできるだけ構造化しようと試みた。
そこで浮かび上がってきた、これからの時代に必要なパブリックデザインの姿をダイアグラム化すると、上のようになる。
彼らがつくりあげた新しいパブリックスペースは、これらの要素を横断的に結びつけている。そしてそれを強固につなぎとめる求心力が"明快なコンセプト"だった。
本書では、このようなダイアグラムを多数用い、これからのパブリックデザインに必要な思考と行動を構造化している。
(左)5章、田中陽明によるスイミー理論のダイアグラムと、(右)クリエイティブプラットフォームのダイアグラム。
『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』
編著:馬場 正尊+Open A
著:木下 斉、松本 理寿輝、古田 秘馬、小松 真実、田中 陽明、樋渡 啓祐
出版社:学芸出版社
判型:四六判
総頁:224頁
定価:本体1,800円+税
発売日:2015年4月15日
ISBN:978-4761513481
僕は、2013年に『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』という本を書いた。そこでは規制緩和や社会実験など、さまざまな方法で再生された公共空間の事例や、可能かもしれないアイデアを提示し、市民から離れていこうとする公共空間のあり方を問い直そうとした。
幸いなことに、多くの人が興味を持ってこの本を受け入れてくれた。特に当事者である行政の方々から、問題意識を共有しているという声を数多く聞いた。そして、民間企業やNPOなどの組織からも、新しい公共空間への関わり方のヒントとして捉えてもらった。
しかし、そこから一歩進んで具体的に公共空間に関わり、その変化にコミットしようとすると、僕らは新しい課題や壁と次々にぶつかることになる。そんな時、より具体的に公共空間についての新しい知識が欲しくなったことが、この本をつくるきっかけだった。
2章、松本理寿輝による「まちの保育園」のダイアグラム。
僕は、彼らがつくった空間や方法論を見ていて、そこに新しい資本主義の姿をうっすらと感じることができた。
彼らは、今の社会システムを否定するわけでもなく、それに乗っかりながら、したたかに、ポジティブに、プラグマティックに理想を実現していく。
そして彼らは、その方法論が社会全体で共有されればいいと思っている。だから他者との差別化やオリジナリティーよりも、一般性、汎用性を重視する。マーケットシェア重視のひとり勝ちの利益よりも、自分のやるべき領域を明確にし、そのクオリティーを高めることに重心を置く。そして、結果だけではなくプロセスや他者との関わり、プロジェクトが成り立つ物語にこだわっている。
(左)「公共R不動産」ウェブサイトトップページ。 (右)物件の紹介ページ。
この本を制作するのと平行して、僕らは「公共R不動産」という新しいウェブサイトを立ち上げた。
この本が新しいパブリックスペースをつくるための実践の書だとするならば、「公共R不動産」は全国に眠っている公共空間を顕在化させるためのエンジンだ。公共空間を新しい利用者の手に届けるための行政手続きは未だ複雑で、その方法論が確立されていないのが、このサイトをつくっていくなかでわかってきた。
だから僕たちは、そのフローを自治体と一緒につくり上げたいとも思っている。
そして、それを活発に使う新しい担い手と出会う場をつくりたい。
この本で感じ取ったパブリックスペースの新しい使い方が、「公共R不動産」に載っている物件に落とし込まれ、新しい実践が起こることを期待している。
公共R不動産
■出版記念トークイベント
※イベントはすべて終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました!
東京
日時:2015年4月21日(火) 18;30開場、19;00~20;30
出演:藤村龍至、馬場正尊
会場:co-lab西麻布 B1F KREI SALON(クレイサロン)
住所:東京都港区西麻布2-24-2 KREIビル
参加費:2,500円(『PUBLIC DESIGN』の本代込み)
※書籍『PUBLIC DESIGN』をお持ちいただいた方は、参加費500円
大阪
日時:2015年5月12日(火) 18;45開場、19;30~21;30
出演:小野裕之 (greenz.jpプロデューサー)、馬場正尊
会場:スタンダードブックストア心斎橋 B1Fカフェ
住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋2-2-12 クリスタグランドビル
参加費:1,000円
福岡
詳細未定
※決まり次第、学芸出版社のホームページでお知らせしますので、以下のリンクからご確認ください。
PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた(学芸出版社)
■特別対談
「東北のまちづくりと、新しい公共空間のつくりかた」
日時:2015年4月18日(土) 15;00開場、15;30開演
出演:西田 司(オンデザイン・パートナーズ)、馬場正尊
会場:せんだいメディアテーク 1F オープンスクエア
住所:宮城県仙台市青葉区春日町2-1
参加方法:入場無料(当日先着順)
定員:150 名
主催:東北芸術工科大学
電話: 023-627-2246(東北芸術工科大学 広報室)
※イベントの詳細はこちら。