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column 2010.10.5
 
戸建テラスハウス化PJ 1÷2>1/2
宮部浩幸(SPEAC inc.)
 

広めの一軒家を2分割して賃貸用のテラスハウスにコンバージョン。住み手のいなくなった家を有効活用するために考え出された解決策を紹介。

※見学会は終了しました。ご来場ありがとうございました。

一軒家が庭付きの2軒に転身。 設計/SPEAC,inc.

空家になる持家を活用したい

子育てが終わった夫婦二人には、広い庭付きの家の維持管理が負担になっていた。彼らはマンションへの住み替えを決め、この家は空家になった。人に譲るつもりはないが、ただ放置しておいては家は傷むばかり。何か有効活用ができないかとオーナーは考えていた。

建物は南側で広い庭に面している。庭には木々が茂り、南東の角には離れの小屋が建っている。都心に近い立地でこの庭はかなり魅力的。室内は、2階は各面に窓があり明るいが、1階は主な採光面が南側のみで暗い印象であった。構造の補強や補修が必要な箇所があった。

工事前の外観。広い庭に面している。2階は明るかった。

まるごと貸すか、分割するか

相談を受けた私たちは活用方法についていくつかの場合を検証した。そのまま一棟丸ごと賃貸する場合、リノベーションをして一棟丸ごと賃貸をする場合。約120平米あるこの家の場合、周辺の相場をそのまま面積にかけると家賃は結構な値段になってしまい、このエリアで借り手のつく賃料の上限を超えてしまう。また、広い庭の魅力が賃料対価として活かされない。リノベーションをした場合はその工事費の回収もままならない。

そこで、たどり着いたのが一軒家を2分割してテラスハウスにする方法。1ユニット辺り約65平米で広い庭と駐車場、片方のユニットには小屋もついてくる。これならば、若い子育て世代やSOHOニーズが取り込めそうである。工事コストは増えるが、家賃の総額が一軒まるごと貸すよりも多くなり、投資分が回収可能となる。

分割のイメージ。

どうやって分割する?

と、ここまではマーケットと数字的な机上の話。実際のところ、一軒家はそう簡単に分割できない。分割した後の住宅が魅力的にならなければ、数字も現実味を持たない。当然のことながら階段は1つしかなかった。このため、1階と2階で各1ユニットの分割も考えられたが、木造故の足音の影響を考えるとうまい考えではない。加えて、2階のユニットは庭の恩恵を受けられない。そこで、思い切って階段をもう1つ作って、一棟を縦に2分割することにした。縦の分割であれば上下階の音の問題は解決できる。あとは間仕切り壁を極力防音仕様として対応する。分割を南北方向にすることで両ユニットともに庭に面する。庭も建物の分割線の延長で2つに分けた。庭のプライバシーを塀で確保することで、各ユニットの住人が気兼ねなく庭を使えるように考えた。

1階平面図。

1つ目のユニットAは1階が庭に面したリビング、ダイニング、2階が引戸で二つに仕切れる大きな部屋とバスルームなった。庭の南側には駐車場を設けた。2つ目のユニットBも1階は庭に面したリビング、ダイニング、2階は大きめの一部屋とバスルーム、ウォークインクローゼットからなる。駐車場は建物の北側で、庭の南端には離れの小屋がついている。

ユニットAの1階奥が庭。 /引戸で仕切れるユニットAの2階。/ 小屋はアトリエ? 秘密基地?

2階の光が降りてくる階段。合板にメタリック塗装。

床の間を利用して作った収納とTV台、補強の筋交いが見える。見た目に全く分からないですが……屋根の断熱塗料で天井からくる暑さの対策はバッチリ。

古くなった物を活かす

庭の他にも、既存の状態で魅力になる部分があった。それらは新築では作ることのできない古色を帯びた物たち。

ワイルドな梁を現して天井が高くなった。玄関脇の立派な無垢板。

2階の小屋裏の構造材は掃除をしてクリア塗装で室内に現しにできた。また玄関脇の壁の大きな無垢板はそのまま活かした。古い扉の時代を感じさせる型ガラスは枠を新しくして再利用。

玄関付近の塀に使われていた大谷石は、プランニング状は撤去の扱いであったが、庭の敷石として再利用できた。

全て真新しくするのではなく、そこに在る物の魅力を見立てることで、新たな価値が作れるのはリノベーションの魅力であり、美学である。

庭の飛び石も再利用。再利用された昭和の型ガラス。

空家問題を考える

このプロジェクトの最中に、去年関わった「房総トライアルステイ」を思い出した。地元のNPOや行政と組んで、お試し居住の家を短期間提供することで、移住や2地域居住の足がかりにしてもらおうという試みだった。これらのうちの複数は空家になった別荘や農家を利用したものだった。

今回に限らず、住まい手のライフスタイルの変化や世代交代を機に空家になるケースは増えている。これは世間で言うところの社会問題であるが、裏を返せば、今回のような潜在的な可能性を秘めた家が増えているという状況でもある。歴史のある街というのは少しずつ世代交代を繰り返しながら街の趣が作られている。そうでなければ街は滅びる。空家に可能性が見いだせるうちは、街は次の世代に引き継がれていく。

話が大きくなってしまったが、このプロジェクトでは、どのように次の世代に家を引き継いでいくのかということを改めて考えさせられた。同時に、リノベーションはこうしたテーマの有力な解決策の一つであると再認識させられた。

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