2013.8.9 |
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京王井の頭線池ノ上駅の階段から直結。シュールな玄関の先の、パズル・メゾネット
パズルを解くように空間を組み合わせて、4つの個性的なプランからなる集合住宅をつくりました。
池ノ上駅のプラットフォーム北側にできた集合住宅。植えられたばかりの壁面緑化はこの白い壁を緑に彩り、駅で待つ人々の目を楽しませる。
高架にある井の頭線・池ノ上駅の改札から地上に降りる階段の途中。そこに集合住宅のエントランスがある。コンコースのパブリック階段から直結のエントランスである。
改札を出て、北側エレベーターの先に増築された駅舎階段。右端には集合住宅のエントランスが見えている。
なぜ、こんな場所に家ができたのか。
線路にぴったりと寄り添った小さな三角形の敷地。利便性は優れているが、線路に近過ぎるし、建物を建てるにはかなりキュークツ。そこでなんとなく放ってあった場所だった。
しかし、駅の階段をつくるタイミングに合わせ、この変形した小さな土地を使えないか、ということになりプロジェクトが生まれた。
最初は路面を店舗、上階を集合住宅とする計画もあったが、駅舎階段が道路沿いに建つため、道路から奥まったところにあるこの建物では店舗には不向き。
だが、渋谷から3駅4分という意外に穴場の池ノ上駅。下北沢にも徒歩圏だ。
周辺は住宅地だが、渋谷や原宿、下北沢のファッショナブルでクリエイティブなエリアに近く、働きながら住むというライフスタイルもあり得るのでは?
立体パズルを解くように空間を組み合わせ、行きついたのが、4つの個性的なプランが絡み合う集合住宅。
4戸からなる集合住宅だが、プランはそれぞれに個性的だ。
コンクリート打ちっ放し、麦わらパネル、オークフローリングの無垢の表情がうまく溶け合った「メゾネットプラン」。
まず、駅の階段から直結のエントランスを入ると、ガラスブロックの明るい廊下があって玄関がある。そこを入るとダイニングがあり、メゾネットの階段を下に降りて行けば、そこに落ち着いた部屋。上下階でプライバシー度を変えてみた。
SOHOの場合は上で仕事、下が居住とうまく分けることができる。
3.5mという天井高を生かし、ロフトを備えた「スタジオプラン」。撮影スタジオやオフィスとの併用もできそうな住まいの形だ。
駅の北側階段を降りていくと、1階にもうひとつ別のアクセスがある。
路地に面した部屋は、天井の高い「スタジオプラン」だ。
路地と空間的につながっているから、そこが庭のように感じる。
ロフトをうまく利用すれば、そこは寝室にも大きな収納にもなる。使い勝手のいい、でかい余裕空間。
路地を抜けていくと、集合住宅なのにまるで一軒家のようなトリプレットがある。
更に路地を抜けていけば、その奥には一軒家のようなプランがある。
勝手口のドアを開くと、吹き抜けからストンと落ちてくる自然光が印象的なダイニング。階段を上がり2階に行けば、トップライトの開放感と、斜めに抑えられた天井の落ち着きが、いいバランスの寝室。
1階(上)にリビングダイニングとキッチン、2階(下)に寝室と浴室。パブリックとプライベートをフロアによって分けつつ、吹き抜けが緩やかに空間をつなぐ。
ちょっと文章で説明するのは難しいが、この部屋は3階から別の動線を持っている。共用廊下から入れる3階がメインの玄関、1階の路地を通って入る部分は勝手口。2つの玄関を持つ。 お客さんや自転車は路地を抜けた勝手口から、自分は3階から直接プライベート空間へアクセス。工夫や暮らしの都合で、ちょっと変わった家の使い方ができそうだ。
駅舎階段の階段下を利用したオープンスペース。土間にはコンクリート製の枕木、エントランスサインには京王線で使われていた廃レールを転用した。
駅の真横なので電車の音には、設計段階で気を配った。ドアや窓を閉めればほとんど気にならないレベルにまで抑えることができたと思う。めちゃくちゃ神経質な人には向かないかもしれないが。
小さな敷地だったから、さまざまな方向から光を採り入れることを意識した。だからどの部屋もしっかり明るくて、その光の表情がなかなかいい。
渋谷から3駅目の池ノ上駅直結なので、渋谷から電車4分。しかも屋外を一切通らないので雨も関係ない。下手に渋谷駅近よりも、よほど時間距離が短い。
このすごい立地の、ちょっとエキセントリックな家。
住むにも、働くにも、それを混在させるのも、面白いはずだ。
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