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column 2009.2.24
 
勝どき、運河沿いの巨大な倉庫をオフィスに改造
馬場正尊(東京R不動産/Open A)
 

この倉庫は、毎日出てくる膨大な空き物件情報の中から偶然発見された。

THE NATURAL SHOE STOREのオープニングパーティの様子

ちょうど1年くらい前、「勝どきのデカい倉庫が空いてるぞ!」ってことで、夜中にみんなでワイワイと車に乗って見に行った。天井高が10mくらいあって、隣には運河が流れている。倉庫街なので薄暗いけど、対岸にはトリトンスクエアの輝く夜景、そのコントラストが美しくて、やけに興奮したのを覚えている。

発見された倉庫。何もないガランとした空間だった。

ちょうどその時期、東京R不動産を一緒につくっている設計事務所のOpen A では、シードコーポレーションという静岡の靴の製造及び輸入を行っている企業の新しいブランド「THE NATURAL SHOE STORE」の小さな店舗の設計をやっていた。

東京にもオフィスやプレスルームをつくりたい、ということだったので、ダメもとで、前夜の興奮覚めやらぬ「勝どきの運河沿いの倉庫」に、半ば強引に連れて行った。薄暗く、殺伐とした、しかもファッションの中心からはるか離れた場所だったので、常識ではあり得ない立地。普通ならアパレルのオフィスは青山や原宿を選ぶべきだ。しかし担当者は興奮し、すぐに静岡にいる社長に電話をした。「なんか、すごいオフィスを見つけました!」。こうして、この倉庫改造プロジェクトは始まったのだ。

巨大な空間の中にゴロンとガラスキューブを置いた。

盛り上がったのはいいが、巨大な倉庫をオフィス兼ストックとして使うにはさまざまな困難が伴う。まず空調が最大のネック。断熱もない巨大空間をまともに空調すると、とんでもない光熱費がかかる。そこで考えたのは、倉庫の中にガラスのキューブを置いて、中だけを空調すること。

4トントラックも出入りする幅6mの巨大なドアを開ければ、そこはほぼ屋外だが、全面にフローリングを敷きつめ、裸足で歩かせることで、人は室内と認識する。内と外の中間領域をつくることで、それは庭のようであり、巨大なリビングのようにも感じることができる。靴の会社にとって、試し履きの空間でもある。

運河に向かって開放された、風や陽を招き入れる大きな間口。

運河に面したデッキ。

半屋外のラウンジ。リビングのようでもあり、庭のようでもある。

もう一つの問題は、勝どきという立地をどう捉えるか。それを解決する鍵は、「ホームの戦いとアウェー」という考え方。サッカーファンなら説明不要だが、ホームグランドでの戦いは、敵地で闘うよりも圧倒的に有利に働く。これは自分たちのオフィスでも十分経験していること。ミーティングに行くよりも、来てもらうほうが、自分たちのやりたい世界観がちゃんと伝わるし、有利に話を進められるのだ。

勝どきという一見不利な立地を跳ね返してホームに持ち込むには、相手に来てもらう理由が必要。追求したのは圧倒的な居心地のよさ、リビングルームのようなオフィスをつくろうとした。ガラスキューブがゴロンと置かれ、そこを中心に、「水辺のテラス」や「半屋外のラウンジ」にデスクやミーティングテーブルが散在している。人々は、時に寝ころびながら、時に運河の風や陽を浴びながら仕事をすることができる。ここまで条件を揃えれば、相手はわざわざ来てくれるもの。とりもなおさず、その空間はエコロジーやカンファタブルがコンセプトの、企業思想を体感させることができる表現媒体でもある。

そもそもオフィスって何だろう? そこは新しい発想や物事を生み出す場であり、私たちが人生のかなりの時間を過ごす生活の場でもある。だとするならば、そこは心地よく、創造性に溢れていなければならないはず。この勝どきのオフィスで、これからどんなことが起こるかが楽しみだ。

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