第8話 ものづくりカルチャー

道具街として有名な「合羽橋」
昔から道具や材料を手に入れやすい職人の街だった、御徒町から蔵前、合羽橋のエリア。
「職人文化」が根付くこのエリアに、若手作家のアトリエやショップが増え、新たな「ものづくりカルチャー」が生まれている。
御徒町の「WOODWORK」、鳥越の「SyuRo」、蔵前の「アノニマ・スタジオ」や、その1階の「in-kyo」などなど。今回は、新しい「ものづくりカルチャー」を牽引する若手たちをご紹介。

御徒町の「WOODWORK」
はじめは、御徒町の「WOODWORK」。
ここは元々、創業110余年の材木屋「下甚商店」。歌舞伎座の舞台を手がける職人たちの世代から、若い職人の世代に変わる時期を機に、家具などを扱う仕事を増やしていった。それが「WOODWORK」の前身である。
今も、地下にある工房で日々職人達が手作業で商品を作っている。
WOODWORK

鳥越の「SyuRo」
御徒町から東に向かうと、鳥越の「SyuRo」がある。店主の宇南山加子さんは、生まれも育ちもこの近辺。周りに職人達がいる環境で育った。
台東区が運営する「台東デザイナーズビレッジ」の一期生でもる宇南山さんは、職人達と一緒にものづくりを行い、その販売を行っている。
SyuRo
台東デザイナーズビレッジ

蔵前の「アノニマ・スタジオ」と「in-kyo」のある建物。隅田川からの風が気持ちいい。
隅田川のすぐ近くの蔵前には、「アノニマ・スタジオ」と、その1階の「in-kyo」がある。
ここは、料理、雑貨、手仕事などの暮らしに関わる本の出版、料理教室も行う「アノニマ・スタジオ」と、執筆と雑貨の販売を行う「in-kyo」からなっている。
明らかにここ目指して来る「アノニマ・ファン」を多く集めるなど、「蔵前」の街を変えている。
アノニマ・スタジオ
in-kyo

「アノニマ・スタジオ」と「in-kyo」の店内。ゆったりと、お客さんと話す時間がある。
(とまあ、他にもたくさんの店がありますが)今までご紹介してきたお店には、共通する事がある。それは、「決してものを売る環境から場所を選んでいない」ということだ。
ものを売るのであれば、青山などの人が集まる場所が適している。しかし、それではつくるもの・扱うもののコンセプトと、それを売る場所のコンセプトが合わなくなってしまう。
アノニマ・スタジオ1階の「in-kyo」の中川さんも、「扱うものの雰囲気とフィットする街の雰囲気が良い」と笑顔で話してくれた。

「WOODWORK」の工房。
確かに、「WOODWORK」、「SyuRo」、「アノニマ・スタジオ」、「in-kyo」などがある街の雰囲気は、「青山」や「表参道」のようないつも忙しい街とは違う時間の流れ方をしている。
「WOODWORK」の店の地下にある工房で、手仕事をしている職人さんたちが作る雰囲気は、ここでしか作れないものだと思う。
それは、ローカル線のボックス席のような適度な居心地に似ている。その辺が、満員電車のようなぎすぎすした商業主義的に考えられたものづくりではなく、もうちょっと大人な時間のものづくりに感じた。
さて、彼らに続く若い職人達が今、どんどんこの街に店を構えている。
その多くは、「台東デザイナーズビレッジ」で学んだ職人達。ものづくりと同時に、後継者ともなる人たちを育成する施設は、街をも変える力をもっている。
そんな街は、まだ新しい「ものづくりカルチャー」の風が吹き始めたばかりである。今、この問屋街、職人の街として賑わった街が、新しい「ものづくりカルチャー」を受け入れ、街を次ぎなる段階にアップデートしようとしている。
次はどんなものづくりの店ができるのだろうか。
楽しみで仕方が無い。

浅草エリアの時代がやってくるのではないか?!それが私たちの仮説です。日本橋エリアを見つけた時の感覚と同じものを、東京のさらに東側の浅草エリアに感じました。昭和の懐かしさと近未来が混在したシュールな風景がおもしろいこの街で、物件を探し始めます。
浅草を探索する理由とは?
馬場正尊による関連コラム
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三箇山、松尾、伊藤、黒田(山形R 不動産リミテッド)
東京R 不動産の東チームとして日本橋エリアの物件を開拓するメンバーと、1 ヵ月の限定の特別参加の山形R 不動産リミテッドからの学生インターン。