第2話 東側の穴場「蔵前」

問屋が多い「蔵前」
浅草橋~鳥越とまわり、隅田川に向かうようにして立ち寄ったのが、「蔵前」という街。
この街は、北は昔から観光地として賑わう「浅草」、南は近年アートの街として知られるようになった「馬喰町」と2つの街に挟まれている。
「浅草」と「馬喰町」に挟まれたこの街は今、穴場としてオモシロくなりつつある。

タイガービルの1階にある「Howling Unity」
昭和初期に建てられた、国の有形文化財の「タイガービル」にある「Howling Unity(ハウリング ユニティー)」は、その中でも異彩を放っている。
"衣・住・音"がテーマのアンティーク家具店で、アメリカで買い付けてきた家具やギターやベースが、スタッフの好きなようにディスプレイされている。
Howling Unity

聞いている僕をわくわくさせてくれる口調で商品を説明するマネージャーの宇田川さん。
商品はここにしかないものばかりでオモシロいが、この店の買い付けの仕方もオモシロかった。
アメリカでの買い付けは、移動手段として借りたコンテナを積んだでかいトラックでアメリカの東から西へ向かい、その道中で気に入ったものを買い付けていく。
だんだん増えていく家具達を積んで西海岸に着くと、家具達が詰まったコンテナをそのまま船に積んで日本へ送る。
「コンテナ1つでいくら」の輸送なので、コンテナが家具で一杯になるくらい買い付けないと、割に合わなくなるという買い付けをしている。
しかも、買い付けの道中で知り合った人たちに会いにいくと、「よう、また来たか」「しばらくぶりだなあ」なんて旧友と再会した感じになるそうだ。
癖のある建物で、アメリカで出会った家具達を扱う「Howling Unity」を後に、僕たちは隅田川の方へと向かった。

隅田川沿いの静かな場所にある「アノニマ・スタジオ」
そこで立ち寄ったのが、「アノニマ・スタジオ」。
ここには、料理・雑貨・手仕事などの暮らしに関わる本の出版を行う「アノニマ・スタジオ」の事務所と料理教室のスペース、アノニマ・スタジオから本も出版するエッセイスト中川ちえさんによる器・雑貨のショップ「in-kyo」がある。
アノニマ・スタジオ
in-kyo

建物内の様子。靴墨倉庫で使っていたごつい棚を、今でも使っている。
元靴墨倉庫だった建物は、「アノニマ・スタジオ」の本、あるいは「in-kyo」がセレクトした生活雑貨目当てのアノニマファンを多く集めている。

「in-kyo」の中川さんがセレクトした商品達。他にも器や布などなど。
僕たちが訪れた時も、「ここを目指して蔵前に来ました」という感じの人が、次々と店の中に入っていった。
どうもこの「蔵前」というエリアは、「Howling Unity」や、「アノニマ・スタジオ」、「in-kyo」といった、そこにある店に訪れる人が多いようだ。
東京の西側では得られない、隅田川沿いの静けさとスローな時間や、癖のある建物と融合した店の雰囲気が、そう誘っているのかもしれない。
まさに、日々忙しく動く「浅草」と「馬喰町」に挟まれた「静かな穴場」。
ここも、「浅草橋」、「鳥越」のように、これからオモシロくなっていく場所だと感じた。

(地図データ ©2010 Google、ZENRIN)

浅草エリアの時代がやってくるのではないか?!それが私たちの仮説です。日本橋エリアを見つけた時の感覚と同じものを、東京のさらに東側の浅草エリアに感じました。昭和の懐かしさと近未来が混在したシュールな風景がおもしろいこの街で、物件を探し始めます。
浅草を探索する理由とは?
馬場正尊による関連コラム
「気になっている浅草エリアを、自転車ツアーで探索してみる。」

三箇山、松尾、伊藤、黒田(山形R 不動産リミテッド)
東京R 不動産の東チームとして日本橋エリアの物件を開拓するメンバーと、1 ヵ月の限定の特別参加の山形R 不動産リミテッドからの学生インターン。