第6回 桜上水、仕事場にしてみる?
このブログも今回が最終回。
最後は質問から!
A:新宿駅から徒歩15分、大都会の真ん中で環境もあまり良くなくて、夜のコンビニへの一人歩きでさえ怖い。あまり広くない古いワンルームマンションで、日当りもダメ。
B:新宿から電車と徒歩で15分、ゆったりとした空間で、周りの環境はとても静か、スーパーやコンビにも近い。日当りもよくて、部屋から緑が見える。
場合によっては車1台、タダで置けるかも。
どちらも家賃が同じだったら、AかBどちらを選びますか?
AとBは「時間距離」が同じです。
でも、そこに待っている環境は、きっとずいぶん違うはず。
初めて桜上水を訪れたとき、都心からの近さと、そこに広がっている静かな空気とのギャップに驚きました。
私は社会人3年目ですが、働き始めてみると、世の中いろんな働き方の人がいることがわかりました。その中には毎日街ナカにいる必要のない人も結構いて、たとえば私の設計という仕事もそう。
基本は内にこもって黙々と作業。たまに外で打ち合わせ。お客さんがくることもあります。そんな職種の人たちに話を聞いていると、必要なのは、作業場とネットワーク、それにちょっと打ち合わせができる場所。それがあれば結構どこでもOKだったりします。(強いて言えば、大きい本屋がまあまあ近くにあるとうれしい、くらい。)
今回のプロジェクトは、「もちろんベースは住宅だけど、家で仕事(あるいは、ちょっとした作業)もできるような空間」を意識して設計してみました。
個室を小さく、オープンスペースを大きくしたのは、例えば「寝る空間」「こもれる空間」に生活感を閉じ込めて、オープンな場所で仕事モード、若しくはその反対が成り立つように。あんまり生活感のあるところだと、お客さんを呼びづらかったりして困るらしい(OpenA馬場の経験談)。たしかにそうだ。
「新しい動線」を確保したのも、空間の楽しさはもちろんだけど、お客さんがきたときに、裏動線として使えるように。なんて聞くとちょっと便利そうでしょう?
それに、新宿からも電車と徒歩で15分。こんなに近くて、静かでいい環境。桜上水、というのは、案外良い選択ではないでしょうか?
このプロジェクトを通して伝えたかったのは、よくある(くたびれた)普通の木造住宅でも、少し手をいれれば、こんなに変わるんだ、ということ。
ポイントは、「壁紙をきれい」「床をきれいに」なんて表面的なことだけではなくて、例えば自分や身近な人が、今どんな生活をしたいのか(しているのか)をよく考えること。それを整理してみること。
ついさっきまで古びていた普通の木造「桜上水五丁目住宅」は、一様でない私たちのライフスタイルと良い関係が築けそうな、そんな雰囲気をもった空間になりました。

このブログについて東京R不動産を共同運営している建築設計事務所 Open A が設計中の物件についてレポート。題して「プロジェクトブログ by Open A」。
第2弾となる今回は、桜上水にある木造住宅をリノベーションする模様をお伝えします。
Open Aとは東京R不動産を共同運営している設計事務所。日本橋の裏路地にある倉庫を拠点にしている。月曜の夜にはスタッフ全員でサッカーをする運動系アトリエ。空間を身体で感じるように努めている。最近の仕事は、東京でのリノベーションや集合住宅、房総半島の家々、オフィスインテリアなど。東京R不動産ディレクターの馬場正尊が代表。
Open AのHP
著者紹介吉野美奈子(Open A)

