2008.9.9
合コンから考えるオフィス環境
例えば、合コンだったら、席の並び方や店の雰囲気(家具やインテリア)などによって展開や成果が大きく変わる。だから幹事は、いかにすばらしい合コンにするか、その環境セッティングには神経を遣い、工夫もする。帰り道「いやー、今日の合コンはレベル高かったねえ、成果も大きかったし。幹事、お疲れ!」というような会話をよくしたものだ。
この合コン理論は、オフィスでのミーティングにそのまま当てはまる、と僕は思っている。いいミーティングにはやはり、選ばれたメンバーと目的や成果に合致した雰囲気が求められる。ミーティングを招集する人、すなわち幹事役はそれらに対し意識的でなければならない。成果が携帯番号ではなく、プロジェクトを動かすアイデアであるように違いはあるが、盛り上がる合コンと活発な意見の出るミーティングは案外、その構造が似ているのではないだろうか?
勝手な僕の仮説だ。
このオフィスでは、家具のデザインにいくつかの工夫をした。家具でコミュニケーションがどう変わるのか?それを想像してみる。
この微妙に低い、そしてグニャッとゆがんだ形。
世の中のほとんどのミーティングテーブルの高さは70センチ。例えば、もっと低いラウンジテーブルを囲んで会議をしてもいいのでは?
このテーブルなら、床に座ってもいい高さ。テーブルの高さが変われば、目線が変わっていつもとは違う発想や雰囲気が生まれるかもしれない。時にはラウンジや座敷っぽい空間が合コンでもウケるように。
みっちり話すより、半分立ったままさらりと会話したくらいが、ちょうどいいラフさの会話ができる。気を抜いて話しているとき、案外、いいアイデアがポンと出てくることを経験している人は多いだろう。そういうとき、電話番号も聞きやすかったりする。このコピーキッチンに付随するバーカウンターでは、そういうインフォーマルな会話を誘発することをねらってみた。
軽く腰掛けながら会話する、そんな縁側で起こるようなコミュニケーションをオフィスに持ってきたかった。この家具はつなげると、ちょっと高いタタミの床面。そこに登ってオフィスを眺めてみれば、いつもと違った視点から仕事を見つめることもできる。並べて広くすれば寝ころぶことだってできる。機能的にもひと工夫。タタミを開けると大きな収納にもなっている。
合コンでは、しばしばトイレに行ったとき、すれ違い際で声を掛けることではじまるコミュニケーションもある。
アメリカのシリコングラフィクス社は、廊下のいろんな壁にホワイトボードを貼って、ビジュアルコミュニケーションを促した。その前は、いつでもミーティングスポットになる。仕事にクリエイティビティが求められるほど、ビジュアルコミュニケーションの重要さが増してくる。ちょっとした思いつきを壁に描いて仲間に説明…そんな一瞬のスパークが、長い会議よりも決定的な成果につながることは、しばしばある。
……みんな、あるよね!?
こんなふうに、オフィスにもちょっとしたコミュニケーションのトラップが仕掛けてあるほうが楽しいと思うのだ。
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テーマは「Office as Livingroom」。