小さな古ビルのワンフロアにリノベーションしながら住む。聞くと大変そうだけれど、それをごく自然に、ゆったりと実行している人がいる。

日本橋でローマピッツァのお店「bigote」(ビゴーテ)を営む小林泰聡さんだ。

今回ご紹介する物件は、馬喰町にある小林さんの住まい。交差点の角地にある、築38年のビルの4階だ。


東京R不動産でこの物件に出会った小林さん。最初に見た時の、雰囲気には驚いたという。

「和風な内装の住居でした。3年間、空いたまま放置されていたそうで、障子もふすまもボロボロ。おどろおどろしくて。」

解体前の様子

立地の良さと相場より安い家賃、そして改装OKなことに惹かれた。

実は、小林さんのお店「bigote」も東京R不動産で見つけた改装OKな物件。
お店のある日本橋と馬喰町とは、歩いて約10分。とても近い。

すぐにこの物件を契約した小林さん。友人の手を借りて、自分たちで一気に内部を解体した。

「延べ10人くらいの知り合いに手伝ってもらって、みんなでワイワイと壁、天井、床をはがしました。一番キツかったのが壁の断熱材を壊す作業。作業に使うバールをドンドン大きなものに替えました。部屋の3分の1ぐらいが瓦礫で埋まりましたね。」

小林さんとバール3兄弟。

解体時の様子。バールを手に壁に対峙する小林さん。

そして、小林さんは、44平米のコンクリートのハコを手に入れた。契約してから2週間も経たないうちに、である。しかしそのあとの改装は、自然とスローペースになったという。

現在の様子

「解体という最初のハードルを越えたら少し安心しちゃったのかな。意外と環境に順応しちゃうんですよ。少しの家具と、持ち物を置いて、まずは寝るための場所を確保できた。あとは、少しずつ手をいれて行けば良いと思った。」

とはいえ気になるのは、住むために必要な、電気、ガス、水道などの設備面ですが...

「契約の時点で、電気はOK、ガスは工事しないとダメだとわかってました。水は、キッチンの水道は出るものの、さびで飲めない水。風呂場は水道管自体が死んでいました。トイレは流れるけど、便器が傷んでましたね。」

入居から半年の間は、銭湯通いが続いた。
新しいガス給湯器を入れてもらい、ついにお湯を手に入れる。しかしお風呂は今もお湯しかでない。

「風呂場の水道管を直すのは大変らしくて。キッチンから給湯器を経て風呂場にお湯を配管してもらいました。だから一番ぬるくて37度のお湯だけが出るお風呂です。」

トイレも便器を新しいものに交換。水まわりとガスの設備改修にかかった費用は、大家さんが半分くらい負担してくれたそうだ。

バスタブは大人2人がかりで斜めにして縦にして入れたが、もう扉は閉まらない。

そして入居から約1年後、それまで半分以上土間だった部分に床を貼り、ほぼ現在の状態になる。

「友人に大工さんがいるんですが、床の張り方を教えてもらいながら一緒に作業しました。やっぱりプロの技術ってすごくて、仕上がりは歴然と差がありましたね」

フローリングの端材を寄せ集めて床を貼ったので、まだらになっている

まさに、住みながらのリノベーションですね。

「いまも気分は工事中ですよ。しばらく休んでましたが、近々再開の予定です。」と小林さん。次は何をしたいですか?

「まずハンモックの設置。あと、照明と収納をきちんとしたい。照明は入居時につけたもの2つしかなくて暗いんです。ソケットの取り付けからやらないといけないので結構大変なのです。」

生活しながらリノベーションを楽しむ小林さんだが、実は、自分で作ることにこだわりはないという。

「いま一番ハマっている自転車もそうですが、凝りだすととことん調べるタイプなんです。だから、やろうと思えば自分で調べて自分でやっちゃうほう。
でも、その一方で、自分でやるよりも自分よりもっと詳しい人に、任せるのも好き。やってもらうことで新しい発見もあるし、安心だし、なによりコミュニケーションが楽しいでしょ。」

ハンモックは詳しい知り合いに相談中。照明や収納も手伝うよと手を上げてくれている専門家がいるのだとか。「みんなの協力があってこそだし。そのほうが楽しいし。」

照明は2つしかない。いまも天井からケーブルがぶらさがる。

夜、店から帰ってiPhoneをスピーカーにつなげて好きな音楽を聴く。もともと周囲は問屋街。同じビルの下の階に住む人はいないし、隣接するビルも無人。周囲に迷惑をかけずに音楽にひたれるのは最高だと小林さん。

「夜、屋上から周りを見ると、まばらにビルの最上階にぽつりぽつりと明かりがある程度。住んでいる人はそれほど多くないようで、ほどよい距離感です。」

屋上からの眺望はGOOD

建物外観、手前の小さなビル。

ビジネス街でカフェをやりたいと思ってこのエリアに来た小林さん。
「店を構えて3年、住んで2年半です。明らかにこのエリアは変わり始めています。夜や土曜日もやってるカフェなどもできてきました。若い人が、個人で店を始める動きがこのエリアでもっと増えて行くといいなと思ってます。」

家では料理はしないのですか?
「水が使えないので家では料理する気にならない。でも、すぐ近くに自分の店があるから食に関しては困らないんですよね。」

日本橋「bigote」と馬喰町「小林邸」。2つで1つの家といえるのかもしれない。

(た)


bigote(ビゴーテ)
ローマピッツァとエスプレッソ、ワインを出すバール。東京R不動産で仲介した物件では、イーストエリアにおいて初めてのカフェ。
HP:http://foodpia.geocities.jp/cob_yas/
所在:東京都中央区日本橋本町4-7-4
電話:03-5203-1919

<小林邸リノベ年表>
2006年 9月日本橋でbigoteを始め、近くに住みたくなる
12月4年つづけた阿佐ヶ谷での友人6人のシェアハウス生活に別れを告げ、部屋探しを開始
2007年 1月物件に出会う
3月契約後の約1週間で、解体を一気に終える
7月まだお湯はでないが、ネコ足のバスタブをご近所さんからもらう
9月入居してから約半年、給湯器を入れ、銭湯通いの日々が終わる
10月大型のエアコンをもらい設置する、それでも冬は寒く、夏は暑い
2008年 1月入居から約1年。床を貼る、ほぼ現在の状態ができあがる
3月排水口が詰まって下階が水浸する事件発生
2009年 9月ハンモック、照明、収納について構想中
10月ようやくインターネット開通

<小林さんの典型的な1日の過ごし方>
10時店に向かう(徒歩か自転車)、開店の準備
11時開店、ランチタイムスタート
14時半ランチタイム終了、店は営業続ける
24時店を締め、帰宅
26時就寝

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