2009.2.24 |
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特集コラム「都会の山」
ふだん意識しないけど、東京にも山がある。だからこそ享受できる物件の魅力がある。
これぞてっぺんからの眺め! ちょっとした展望台。ビールください!
これは東京R不動産で紹介した、とある物件の屋上からの眺めです。爽快の一言なり。街全体を見下ろす気持ちよさは格別。まさに都会の山の頂き、そんな感じがしませんか?
東京は坂が多いのはご存知のはず。でもそれは言い換えれば、かなり凸凹地形。高低差の起伏がかなりあるということだ。
ところで東京の地形図って、ご覧になったことあります?
地形図を見始めるとなかなかハマるんです。
「川の源流がここで、谷筋がこう走っているから、ここが○○川のつくる段丘崖で、ということはこの丘の上の物件からの見晴らしはきっと…」
眺望グッドポイントを地形から探ろうという話なのですが、いつの間にか地名の由来、果てはこの地形がどうやってできたか縄文時代までさかのぼって詳しくなったりして。これぞアースダイバーな物件再発見。
前置きが長くなりました。東京R不動産流・物件を発掘する視点の特集第2弾、テーマは「都会の山」です。
まずは、山を心に感じてみるところから始めてみませんか?
取材したお宅の窓際。ここは8階。ついつい風が気持ちよくて娘さんもついついお昼寝モード。Zzz…。
部屋からの眺望も最高なのですが、屋上の気持ちよさは本当に比類ない。
斜面を降りると、緑地あふれるのんびり公園と川。考えてみれば、地形を造るのは水だから、山物件にはすぐしたに川や緑道が近くにあることが多い。
そもそも、「山の手」「下町」と言いますが、山の手とは「山側」の意味で、すなわち高台にある閑静な高級住宅街のことを指し、一方下町とは、文字通り山の下にある町、すなわち庶民の長屋が並ぶ低地のエリアを意味していました。つまり、山の上は昔から特別感のあるロケーションだったわけです。
というわけで、取材に伺ったのが前出の屋上の物件。ここは坂の一番上に立つレトロ・マンション。住人さんのお部屋があるのはその8階。5人家族で暮らしていらっしゃいます。
「ベッドに寝っころがると空しか見えないんですよね」
「時間や天候で空の表情がまったく違うんです。晴れわたった空もいいけど、雨が降ったあとの向こう側の空の澄んだ感じとか。あと朝日もきれい。普通、朝日とか都会で見ないですよね」
「隅田川花火が窓から見えて、それをツマミにビールを飲みました」
住人さんの話を聞いているうちに羨ましくなり、つい遠い目をして窓の向こうを見ながらつぶやいてしまいました。「ほんといい眺めですよねぇ…」
しかも山の上は古きよき住宅街。積み重ねられた歴史ゆえの町の趣き、人の品性のよさがある。
また、そもそも山と谷の地形自体、川の流れによって造られるものである以上、その下は川、もしくは川の跡につくられた緑道や公園などであることが多い。実際、取材したマンションも坂を下りるとそこは川、そして川沿いには桜の名所で知られる気持ちの良い公園が広がっていました。
「いい崖出てるなあ」。地形図を見ていてそう思うのはたとえば、神田川にのぞんで急な勾配を上がる目白、目黒川を下に、その坂の上にある代官山、目黒。このあたりが代表格でしょうか。
「山」物件のデメリットを挙げるとすれば、商店街が少ないケースが多いことか。商店街は逆に谷底に多いんです。渋谷駅が都内随一の谷地であることはよく知られていますが、竹下通り、歌舞伎町、麻布十番、戸越銀座、実は主な商店街があるのはぜんぶ谷です。
もし機会があったら、地形図を見ながらご自宅の標高がどのあたりかご覧になってみてください。「えーとここは谷だからここが山で…」。ちなみにうちは見事に谷底でした…。