🎨相続はクリエイティブ

相続がまちの風景を変えていた!?

「最近、近所の大きな畑や林が、狭小戸建の住宅地に変わってしまった。」

なんて経験はありませんか?
どこの地域でもよくあることかもしれません。

実はこれ、地主の相続が原因であることが多いのです。
相続によって地域の風景が変わってしまうのは事実ですが、組み立て方次第では、相続後も価値ある風景を維持できたり、地域にとってより良い風景に変えていくことができることも、また事実です。

地域の将来像を描くとき、みんデベするとき、「相続」は避けては通れないキーワード。そんな相続についてお話しするのがこのシリーズ。今回はその入口です。

   

地域の資産を守るために

無くなってしまったその大きな畑や林は、地域の中でどういう場所だったでしょうか。

住宅街の中にある貴重な緑で、大きな空が見えて、風が抜け、眺めて癒されたり、時に子どもの遊び場になっていたり…
それはあたり前のようでいて、地域ならではの風景であり、地域の魅力の一つになり得る場所だったはずです。

土地はもちろん個人の資産ですが、地域にとっての資産でもあります。
守るためには、まず、地主がなぜ相続時に手放してしまうのか、理解する必要があります。

 

相続税という仕組み

資産を持っている人が亡くなると、一定以上の遺産を継ぐ人は、国に対し、その額に応じた相続税を納める義務があります。

これが大抵かなりの金額なので(税率は最大で55%にもなります)、泣く泣く先祖代々の土地を売ってお金にする必要があるというわけです。

でも、「地主ってお金あるでしょ、売らなきゃ払えないの?」とか、
「こんな密集した住宅地をつくる業社に売らなくてもいいのに」とか、思いますよね。

理由についてはこれから別の記事で書いていきますが、結論としては、今の世の中は、地主がそういう選択をしてしまうような仕組みになっているのです。

 

相続ケーススタディ

ではどうしようもないのか?というと、そうでもないんです。
相続の発生前にしっかり計画を練っておけば、全然違う結果にすることだってできるのです。

実は、相続税のルールや仕組みを学んでいくと、いろいろ工夫できそうなポイントに気づきます。
例えば、土地をいくつか持っている地主がいるとして、

<ケース1> そのまま相続がおきた場合

<ケース2> 借り入れをして賃貸住宅を建てた後、相続がおきた場合

この2ケースでは、相続税の計算が変わります。
 

ポイントは、<ケース2>において、①被相続人(亡くなった人)に債務があること、②賃貸住宅用地として利用されていること。

どちらも相続税計算の上で控除や特例の対象となっているからです。

単純比較はできませんが、<ケース2>は、税金面の優遇を受けながら賃貸住宅を所有でき、その賃料収入によって相続発生までに納税資金を蓄えていくことができる、というメリットがあります。

 

そして、支払う税金を抑えられるということは、納税のために売却する土地を最小限に留めることができるということ。つまり、畑は畑のまま、林は林のまま、風景を維持することにつながるのです。

その地域ならではの風景は、魅力になり、そこに住む理由にもなり得るものです。
風景を維持・活用し、ここを面白がる人たちが集まってくるようにする。
(この人集めの意味でも、賃貸住宅を建てることが意味を持ってくるわけです)

 

そうすることで、これから先も選ばれる地域であり続けることができるでしょう。
言い変えれば、それは不動産の価値を維持、または上げていくことができるということ。

つまり、地域にとっても、地主にとっても、ポジティブな相続のやり方があるわけです。

人と地域とナリワイをつなぐ、町屋スタイルの賃貸アパート(東京R不動産 關根)

 

相続はクリエイティブ

こういう仕組みを上手く使うことで地域にクリエイティブな変化を生み出すことができるのです。その方法はこれから説明していきます。

もしあなたが、自分の住む地域の「あの風景を維持したい、活かしたい」と思っているならば、まずは、地主さんが直面している「相続」について理解を深めるところから始めましょう。

地主さんにとっての価値を踏まえた、説得力ある提案ができるようになれば、ゴールです。