みんデベの可能性は、どこにあるのか―内山博文さん ②

 

みんデベを監修・サポートするArea development lab.のディレクター、内山博文さんへのインタビュー。

後編では、公共施設の再生を例に、みんデベの可能性を考えます。

 


 

林厚見(以下、林)
公共施設の再生も手がけているんですね。

内山博文(以下、内山)
つくば市でエリアマネジメントをやっているけど、それとは別の茨城県の案件で、植物園だった場所に複合施設をつくるプロジェクトなんだ。森の中に温浴施設とコテージ、グランピング、バーベキュー場をつくっているんだよね。大手主導ではなく、地域を巻き込んでエリアを活性化する枠組みだね。コンソーシアムを組んで、建設会社と設計と運営会社で動いている。建設会社も1 社じゃできないから3 社の連合にして。県産材を使うとか、面白い取り組みになっていると思うよ。


公共案件の話はどんな感じで来るんですか?

内山
僕のところに来るのは、公募の要綱が決まる前の段階の案件が多いかな。そういう案件だと、どんな事業の可能性があるのか、サウンディング的にいろんな事業者に話が持ちかけられるけど、○○総研みたいな大手も悩んでいるんじゃないかな。僕はローカルプレイヤーを主体にした新しい枠組みでの地域活性化とか、地元の事業者が受託できるような公募のあり方を提案してる。
一方でローカルプレイヤー側でも、公共の事業を実行するための体制づくりができないところが多いから、そこのサポートも必要になる。行政に対して、大手に頼んで丸投げするんじゃなくて、いっしょにつくっていこう、っていうパートナーになれるところがポイントかな。


いろんな地域でそれができてくると、みんデベ的な世界が広がっていきそうですね! 行政側でも人手が足りなかったり、予算がなかったりして、これまでのように動けなくなってきていますよね。

内山
公共施設でも建設費の高騰の問題が影響してくるから、今後は新しいものを建てるよりも既存の建物をリノベーションして活用する方向に流れやすくなると思ってる。そうなると大手は予算規模が合わなくて手が出せなくなるから、地元の中小事業者でコンソーシアムを組んで取りにいくようなことができてくるよね。


ローカルプレイヤーは面白いコンテンツとか地域への思いを持ってるのに、公共空間で誰かと組んで大きいことやっちゃうようなイメージを持ててない。そこにこれからの可能性がありますね。

内山
そこがイメージできるようになると面白いし、クリエイティブな仕掛けとか、人の巻き込み方も考えられるようになる。地域で足りないものは東京から持ってきたらいいし。ローカルプレイヤーが、今まで手を出せてなかったスケールのものに、チームを組んで取り組むのが、これからのローカルデベロップメントの形だし、みんデベだよね

前編はこちら。
みんデベの可能性は、どこにあるのか―内山博文さん ①」

内山 博文

u.company inc. 代表/Japan.asset management inc. 代表/リノベーション住宅推進協議会 会長/つくばまちなかデザイン 代表/エヌ・シー・エヌ 社外取締役

1968年愛知県出身。1991年筑波大学卒業。1996年都市デザインシステム(現UDS)に入社し、コーポラティブ事業の立ち上げ等に従事、取締役、執行役員を経験。2005年リビタを設立し、リノベーションのリーディングカンパニーへと成長させる。2009年リノベーション住宅推進協議会(現 (一社)リノベーション協議会)を発起人の一社として設立。

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