
みんデベを監修・サポートするArea development lab.のディレクターへのインタビュー。第1弾は内山博文さんにお話を聞きました。
内山さんは、都市デザインシステム(現UDS)の時代にはコーポラティブの手法を駆使して建物やまちができるプロセスを民主化してきた人。その後、代表を務めたリビタではリノベーションを普及させ、市場として成立させた立役者です。
デベロッパーであり、不動産のプロでありながら、豊かな空間やコミュニティをつくること、まちの文化をつくり、守ることに対して強い思いを持つ内山さんは、僕らにとって尊敬できる先輩であり、心強い理解者でもある。そんな内山さんにみんデベの可能性について、改めて聞いてみました。
林厚見(以下、林)
みんデベのサイトがスタートしました。改めて、みんデベという考え方についてはどう思っていますか?
内山博文(以下、内山)
そういう時代だと思っているよ。これからのデベロップメントのあり方を考える時期にきているよね。
林
内山さんは大きな仕事に関わることも多いと思いますが、最近の仕事の中でみんデベの可能性や必要性を感じるようなことってありますか?
内山
いわゆる再開発はこれまでのやり方に限界がきていると思っているし、公共施設の再生でも地域の主体を中心にした組み立てを試しているところ。どちらも大手の事業者が手を出しにくい案件が増えていると感じるし、ローカルを主体にしたチームを組成して解決するやり方に可能性を感じているね。
林
内山さんはどういうポジションで関わるイメージですか?
内山
ローカルプレイヤーを集めたり、足りないリソースを外から持ってきたり。スポンサーが必要ならそれも考える。金融の部分が足りていないことが多いので、その部分と建築で関わることが多いかな。新しい枠組みを考えられる人が少ないので、そこに価値を感じてもらうことが多いよね。
林
そこで内山さんのような存在が必要になるわけですね。

内山
最近関わっている駅前エリアの再生の場合、ローカルプレイヤーとしては、元からある地場産業の集積を生かして活性化したいと考えている。それを実現するには、既存の組合をどう生かすのかが鍵になるし、権利関係の調整も必要で、金融の仕組みも必要になるから、その部分のサポートをしているね。普通にやると、駅前は地上げしてタワーマンションを建てないと収支的に成り立たないし、そうではない場合、大手が入るには規模と収益性が合わないから手を出せない。そういうスケールのものをすくい上げられることが重要だと思う。最近の建設コストの高騰で、再開発が成り立たなくなる事例も増えているよね。
林
地場の若者たちの夢をデベロップメントで形にすることこそ、大手デベロッパーが関われない領域だし、ローカルの力が生きてくる。草の根的な動きとプロフェッショナルが合流して、外部の専門家も関わりながら進めていくことで、力強い動きが生まれる。それはみんデベの一つの形ですよね。
内山
地域の資源をうまく組み合わせれば、ユニークで優位性のあるモデルが作れるし、そこにファイナンスも可能なのに、そのやり方のイメージを持っていないことが多くてもったいないんだよね。
林
そうなんですよ、もったいないんですよね。地銀なんかもどう動けばいいか模索していますね。一方で、地場企業の若旦那の中にはキャッシュを持っていて地域への思いも強い人たちがいる。そういうところには可能性がありますよね。
内山
三豊(香川県)の例みたいに、若旦那たちが次々と共同事業を立ち上げて、小さな店からホテルまで展開して、さらにそれが継続するようにエグジット、再投資する流れが生まれているのは、ローカルデベロップメントのモデルだし、未来の形だと思うね。

後編は、公共施設の再生を例に、みんデベの可能性を考えます。
「みんデベの可能性は、どこにあるのか―内山博文さん ②」
u.company inc. 代表/Japan.asset management inc. 代表/リノベーション住宅推進協議会 会長/つくばまちなかデザイン 代表/エヌ・シー・エヌ 社外取締役
1968年愛知県出身。1991年筑波大学卒業。1996年都市デザインシステム(現UDS)に入社し、コーポラティブ事業の立ち上げ等に従事、取締役、執行役員を経験。2005年リビタを設立し、リノベーションのリーディングカンパニーへと成長させる。2009年リノベーション住宅推進協議会(現 (一社)リノベーション協議会)を発起人の一社として設立。
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Japan.asset management inc.
リノベーション住宅推進協議会
つくばまちなかデザイン
エヌ・シー・エヌ