みんデベとお金の話
「みんデベ」というのは不動産の開発に限った話ではもちろんなく、カタチあることもそうでないことも含めて色んなプロジェクトを仕掛けていくもの。ですが、やっぱり何をするにもお金の問題は出てくるものです。
小さなイベントとかモノづくりでは「クラファンで資金を集めればなんとかなる!」ということもしばしばあるでしょうが、リノベしたり新しい建物をつくったりする話になると、それだけでは難しいことが多いですよね。
ということで、ファイナンス=資金調達の話をしていきたいと思います。今回はその入り口。
ファイナンスの本質「アイディア」「筋道」「キャスト」

まず資金調達というのは、言ってしまえば「アイディア」と「筋道」と「キャスト」がしっかりあれば、どうにでもなるんです。逆にいえばそれらがないと難しいともいえますが、言い出しっぺがお金を持ってなくても全然いいんです。
お金を調達する方法というのは色々ありますし、お金を出せる人や会社もいろいろです。銀行はもちろん、まちの大旦那とか、プロの投資家とか、補助金とか行政とか、もちろんクラファンも、そして企業スポンサーっていう手もあります。そして(お金を)借りるだけでなくて、つくったものを買ってくれる「買い主」も、お金の提供者ですね。
誤解しちゃいけないのは「事業収支をつくらなきゃ……」とか「銀行に何を持っていけばいいんですか?」とか、そういうことは別にファイナンスの本質じゃないということ。むしろそういうのはいったん忘れましょう。
動機のデザインと“構造の設計”
アイディア、筋道、キャストと言いましたが、ここで言うアイディアというのは「こんな場所をつくりたい」とか「こんなシーンを実現するんだ」っていうのもちろんその一部ですが、資金調達の話で大事なのは、それがお金目線で見たときに成り立っているかどうかです。「どう成り立つかまで含めて、アイディアである」ということです。
そして、誰が何の役割を担うのか。「自分はこれをやるから、大家さんはこの分の投資をお願い!」とか「こういう人を連れてきたから、現場はちゃんと回っていきます!」とか、はたまた「これをやりたいと言ってるみんなで出し合ってつくろう、⚪︎⚪︎さんがいるから〜は大丈夫」とか、きちんと成り立つキャストと役割を現実的に描いて、はじめて「グッド・アイディア」「グッド・デザイン」になります。
お金をどうやって借りるのか?じゃなくて、お金を出す人の動機のデザイン、リスクをとる人にとって「いける」と納得できる”構造の設計”こそファイナンスの正体だと思うべきなのです。
“Dream”を語る重要性
「あのね……、それができりゃ苦労しないんですよ……」
そう思った人、きっといますよね。その通り。そこが悩ましいのが普通でしょう。
そこで、どうするか。ちょっとそのあたりの頭出しまでやっておきましょう。
ポイントの一つは「Dream」を言語化し、語ることです。”I have a plan.(こんな計画です)”でなく、”I have a dream.(私には夢がある)”。マーティン・ルーサー・キングばりにDreamを語るのです。
外へ出て仲間を増やす巻き込みの力
二つ目は「自分の周りの世界の、外に出ていくこと」です。これはみんデベだからというわけじゃないんですが、事業やプロジェクトをしでかす時には、人の巻き込みこそが突破口を生み出し、結果を大きく左右します。実際にプロジェクトに関わる人だけじゃなくて、プロジェクトのヒントをもらうために、人を巻き込むのです。
だいたいみんデベしたい人とか、「まちづくりしたい」人って、周りの仲間も価値観やノリが近い人が多く、お金に疎いとか事業モデルを考えるとかって苦手、という人が多かったりしがちです。だからこそ、そうじゃない人、違うタイプの人にDreamを語りにいくのです。
ちょっと大きな話なら、知り合いを伝って地元の大旦那的な社長に会いにいったり、銀行のOBみたいな人を紹介してもらったり、同世代でも全然違うタイプのベンチャー起業家を紹介してもらったりするわけです。ここで遠慮はいりません。だいたいみんないい人なんです。
そうすると何が起こるか。素敵Dreamがちゃんとその背景や強さをもって伝われば、そういう人たちはいろいろ考えて、それをPlanに変えてくれるんですね。お金を出す人が納得する道筋や構造、つまりファイナンスのために必要な「アイディア」に近づけてくれるものです。
そうこうしてるうちに新しい仲間が増えていきます。その人たちがいつの間にか、お金を貸す人とか投資する人を連れてきたりもすることでしょう(もしそういう流れにならないならば、そもそもやろうとしていることを根本的に見直す必要があるかもしれませんが)。
もちろんその過程で、ヒントをもらっては考え、少しずつ進化し、またヒントをもらってまた考え、進化し・・ということが必要なのは当然です。が、いずれにせよそれは一人で”勉強”だけしたり、ファイナンスっぽくないタイプの人たちだけで議論するだけでは出口は近づかないと考えましょう。最初はほんとにDreamだけでもいいのです。「教えてください」でいいんです。
DreamをPlanへ進化させるプロセス
夢の言語化と、外へ出ていくフットワーク。そこから徐々に現実に形になるアイディアを組み立てる。その動き、その旅こそがファイナンスの本質です。まずは、そう思ってください。それがあるべき地点まで進めば、あと何をしたらいいかはおのずと見えているはず。つまりそれは「お金の話はほぼクリアしている」状態を意味します。
タイトルから期待されたお話と違ったかもしれません。具体的な組み立て方だとか、手順のイメージなんかも、もちろんこのあとやっていく予定です。
ということでまずは根本的なマインドセットの話でした。
ではまた次回。