思いを描くことから始まる
自分たちの地域がどうなっていたらうれしいか、どんな地域にしたいか。その姿を思い描き、まちや建物、仕組みなどを使って、自分たちの力で実現する。それが「みんデベ」だ。
思い描くといっても、どんなことが考えられるか、どうやって実現するのか。それを考える手がかりや、考え方を、シリーズで紹介していきたい。
きっと多くの人が思い描き、共感する地域の将来像の例としては、こんなものがあるはずだ。
- 子どもたちがいきいきと育つまちにしたい
- みんなが自分のやりたいことを実現できる環境があるといい
- 活気や賑わいのある地域になるといい
などなど。
地域で目指したい姿に、自分たちの得るメリットや、企業などの戦略が重なり合い、地域の主体たちが参画するプロジェクトとなって、みんデベの活動が生まれる。

きっとこのサイトを見ているような人であれば、すでにそんな活動を始めていたり、自分の拠点を開いていたりする人も多いに違いない。
地域にそうした活動や拠点がせっかく生まれたのなら、それを点で終わらせず、そこで目指していることを、まちという単位にまで広げ、それが地域の魅力や、地域課題の解決を持続的に推進するものになるようにするのが、みんデベで目指すことだ。

けれども、まちという単位になると、想像が追い付かなくなってしまったり、行政がやることなのでは……、大きな企業やデベロッパーの仕事なのでは……、と考えてしまったりする人が多い。

工務店がつくるみんデベの渦
例えば、東京の東村山市には「相羽建設」という地域工務店がある。木の家や建物にこだわり、単体の建物だけでなく街並みや地域の魅力アップを考えているすてきな工務店だ。
実際に彼らのつくる建物のファンは多く、街並みや暮らしの質に価値を感じる人を東村山市に集めているという点で、地域への貢献度は高い。
しかし彼らは工務店として地域に貢献しているだけではない。
毎月マルシェを開き地元の農家や物づくりの人たちを集めたり、市立公園の指定管理やパークPFIなどに取り組んだりと、本業とは関係ないところで地域の魅力を高める活動を積極的に展開している。
そんな活動は、ときに大企業とタッグを組んだり、地域の企業を巻き込んだり、地元の小商いなどのプレイヤーを集めたりしながら、まちを変えていく。
市もそれに乗っかる形で、公民連携やシティプロモーションにも発展し、さらにその活動は強度を増す。
そうして地域の魅力が高まることは、相羽建設の本業にも大きなリターンをもたらしているし、人材不足にあえぐ建設業界にあって小さな地域工務店に全国から就職希望者が来ていることにも驚かされる。

相羽建設の場合には、地域工務店という性格上、建物や空間を扱うことが専門であり、地域での人や仕事のつながりも強いことから、自分たちが動き始めることで、みんデベの渦をつくり、それに共鳴する人や企業が集まっている側面が強い。
しかし地域においてそうした存在はむしろ希少だ。
であれば最初に必要なのは、冒頭で書いたように、地域が目指す姿を描き、それに共鳴する人を集めること。多くの場合、それがみんデベの第一歩になる。
そうして描かれた地域の将来像に、みんなが自分たちの未来を重ねて描き、自分たちでそれを実現することで、みんデベになる。
そんな例やあるべき形を、このシリーズではいくつかの切り口から考えてみたい
記事の中で紹介した情報
相羽建設株式会社
1971年東京都東村山市で創業した地域工務店
https://aibaeco.co.jp