東京R事情
島津山ハウス
text=安田洋平(東京R不動産)photo=平野 愛、平賀哲、ほか

本物件、現在入居者募集中です!(2009.11.17)
島津山HOUSE

五反田にあるレトロな外国人用住宅が、シェア型ワークスペースに変貌。


ダイニングキッチンを広々ミーティングスペースに。ベッドルームを個室のブースとした。こもって集中することもできて、なおかつゆるやかな人とのつながりも生まれる。中古住宅が、ちょうどいい距離感が心地よいシェアオフィスへと生まれ変わった。
発想を変えてみる

ここ「島津山ハウス」は築35年の物件。もともと外国人用住宅であった。現オーナーが買い取った後、自社のオフィスとして使用していたが、拠点を移すことになったため賃貸物件とすることに。しかし五反田は高級住宅が立ち並ぶ一帯、住宅としてそのままではやや見劣りがするし、事務所利用といっても都心で周りに事務所物件が沢山ある中で、いまひとつアピールしづらい物件だった。

それならいっそ、「古くて広い住宅」を「レトロ感漂うスモールオフィスの集合体」と見立てて、リノベーションを行ってはどうか? もともと広くとられていたダイニングキッチンの空間は、共有のミーティングスペースに。外人住宅ならではの、ホテルのように各階ごとで数室づつつくられていたベッドルームは、個室の作業ブースと想定してみたのだ。

フリーランサーやベンチャー系の小規模事務所が求める仕事場の条件――それほど広さは求めないが集中できる個室&シェアで全然かまわないが、ゆったりとして広いラウンジ――を叶えるうえで都合の良いつくりをこの住宅は予めポテンシャルとして備えていたと言えよう。

結果から言うと、ローコストのリノベーションで大きな成果を挙げることになった。若干の間取り変更、天井を上げるなど手を加えたが、基本的には元々の建物の雰囲気をなるべく活かした。だが今この「島津山ハウス」は3フロアに、デザイナー、編集者、CM制作のクリエイターなどクリエイターの事務所や、アロマテラピー、カイロプラクティクなど個室型サロンが次々に入り、新たな活気が生まれている。

加えて、住人のほとんどが東京R不動産を通じての入居であるため、職種業種はまちまち、しかし価値観が自然と近い人たちが集まっているのもここの良さ。「長屋的なつくり」のこのシェアオフィスが、快適でありえているもう一つの理由。そしてそれはオーナーにとっても良質なテナントを集めるというメリットにもつながっている。