
築60年近い名物件
東京R不動産では「え!昭和26年?!」というタイトルで募集した当物件。終戦直後の昭和26年、米軍将校向けの貸家として建てられた。その後、オーナーさんのご主人が建築設計のアトリエとして使うために大幅に改装。そして数年前、オーナーさんが東京を離れることになり、貸し出されることになった。
現在、敷地中央の中庭を囲むように、2階建ての物件が5つ連続している。
「非常に希少な物件でした」とは、この物件の仲介を担当した東京R不動産タナカの言葉。「毎日毎日物件を探し回っているR不動産のスタッフでも、誰もこの物件のことを知らなかったんです。初めて見たときには興奮しましたね。まだまだ都内には埋もれたアツい物件があるぞ! と」
工夫しながらみんなで使う、それが楽しい。
そして契約、入居。オフィスとして使い始めるには苦労したという。
一般的に、戸建をオフィスとして使う場合、問題になるのは2点。インフラが弱いことが多いのと、部屋が小分けになりがちなことだ。
「仕事上必須なインターネットが敷かれてませんでした。電源はアンペア数は足りていましたが、配分が偏っていて。あと、うちは特に電話の使用台数が多いので設置のために、あちこち見積り取ったりして手間がかかりました」
レイアウトも苦労した。「なかなか決まらなくて。例えば、1階のこの柱。これらをよけつつ、いかに20人分のスタッフの机をうまく配置するか。机のサイズを決めたり、あれこれ検討しました」
「最終的には、現場合わせでソファーの位置を決めたら、他の要素の配置もうまく収まりました。2階は3部屋あって、確かにスペースが小分けですが、集中して作業するスペース、打ち合わせのスペースなど、みんなで集まる1階と対照的に使い分けています」
でも苦労は最初だけだったと林さん。「自分の性格なのかもしれませんが、最初にしっかり考えれば後は悩まない。あとはスタッフが自由に考えて使ってくれれば良い」
ひとつの例が天窓のカーテンだ。玄関入ってすぐの応接間と、奥の作業スペースにあるガラスの天窓に、今年スタッフがカーテンをかけた。「この場所、夏は暑くてまぶしくて、冬は寒いのですが、入居して2年目の夏となる今年、スタッフが自発的に、布を買ってきてカーテンをかけたんです。"ドリームカーテンプロジェクト"と名付けて、ワイワイ楽しそうにやってましたね。おかげで、だいぶ過ごしやすくなりました」
家のようなオフィス、気をつけていることはありますか?
「時間にはこだわります。毎朝、10時きっかりにスタートで7〜8分、朝礼をやります。勤務時間は19時までで、フレックスとか自宅作業は原則として認めません」
居心地の良いオフィスに甘えてしまわないための工夫だという。
「あとは楽しさを演出しすぎないことでしょうか。例えばゲーム機は置かないとかね。せいぜいダーツぐらい」
最低限の規律の上に成り立つ、居心地の良い空間。仕事と生活の境界が薄れていった先の、きわめて自然なバランス。
個人的には2階の林間学校のような雰囲気が大ハマりでした。今度、1人分、間借りさせてもらえませんか〜?
(text:田中慶樹/東京R不動産)

