史上最高のオマケ付き?
余談だが実はこの物件、結果的に「史上最高のオマケ付き」物件でもあった。
物件募集時、この建物のなかにはまだたくさんの残置物が残されていた。通常、残置物というと貸主負担で処分するものであり、事実オーナーさんは当初トラックを呼んで全部棄てようとしていたところだった。だが、それらは宝の山だった。現オーナーの親御さんである、こちらに住まわれていた画家の方、また陶芸を長年やられていたその奥様が遺したイーゼル、額縁、電動ろくろなどの絵画用品・陶芸用品、趣味が良く年季のこもった家具、お盆やガラス器、花器の壷などのアンティーク小物などなど。どれもそのまま捨てられてしまうのがあまりにもったいない品々ばかりだった。
そこで急遽、東京R不動産の掲示板「Rボード」で、R不動産としても初の試みとなるフリマを行うことにした。「元画家のアトリエにあったもの、タダで譲ります」。告知を出したところ、なんと100名近くの方が応募され、予想以上の賑わいに。そして部屋いっぱいに溢れかえっていたモノたちはフリマ開始からものの数時間でそのほとんどが引き取られ、あっという間に片付いてしまった。
おかげでオーナーさんは3tトラックの費用が浮いたし、またそれ以上に、この家にあった思い出の品々を、「大事に使います」と言って他の方が譲り受けてくれたことが良かったと喜んでくださった。
また、フリマから日が経って、「こんな風に使っています」というメールを数通いただいたが、そこでは、古い壷がちょっとした物容れに使われていたり、新たな持ち主のもとで素敵な使われ方をして、まさに第二の人生を歩んでいるモノたちの姿があってこちらも嬉しい気持ちにさせて頂いた。
いくつもの出会い
LaMOMOの日下部さんがおっしゃっていたこと。「先日、この建物を設計された建築家の鈴木恂さんとお会いすることができたのですが、『次の世代の人でこの建物をまた使ってくれる人ができてよかった』言ってくださったのが嬉しかったです。いいスタジオにしていきたいという想いが強くなりました」。現在ここのフォトスタジオはアトリエSという名前だが、それは設計者の鈴木さんと、オーナーさんのイニシャルから取られたものである。今回のケースでは、何かただ物件の紹介に終わらず、いろんな人とモノが引き合わされ、そして引き継がれていった気がしている。
(text:安田洋平/東京R不動産)

