Rトピックス
東京R不動産ディレクター 馬場正尊が本を書きました。「新しい郊外」の家
text= 馬場正尊(東京R不動産)

房総R不動産で連載していたブログ「房総の海辺に土地を買ってしまった」がベースとなった本が出版されることになりました。


この本では、土地を買ったり、家を建てたりすることに対する謎や微妙な部分を、あえて全部書いてます。
例えば、フリーランスに近い中小企業(弱小設計事務所)の経営者が果たしてローンが借りられるのか? いくら借りられるのか。そのためにはどうやったらいいか。土地はどうやって探し、買うのか。
また、家を建設する場合は何がポイントなのか? どうすればコストを抑えられるか(ここは本職です)。さらに、見積りをすべて公開してます。
今まで、建築家も不動産会社も銀行も、いろんなことを微妙に言っていなかったような気がしてました(隠していたとまでは言いません)。でも、この本ではブラックボックスになっていた部分を、全部、ガラス張りにするのがテーマのひとつでした。それが「東京R不動産」をやっている人間の役割だとも思ったからです。勢い余って、家のデザインまでガラス張りにしてしちゃってますが・・・。


限りなくオープンな房総の馬場家。

家から300mでこの環境。

書名: 「新しい郊外」の家
著者:馬場正尊
編集:菅付雅信
アートディレクション:グルーヴィジョンズ
出版社:太田出版
定価:1480円(税別)
ISBN:978-4-7783-1154-4

こちらの本はamazon.co.jpからもご購入になれます。

なぜ房総に土地を買って、家を建ててしまったのか?
それまで、僕は賃貸派。一生、賃貸マンション暮らしでいいと思っているタイプでした。都心に近いところでフットワークよく住む、それが好きだったのですが、40歳の足音が聞こえるようになったある日。東京から1時間半(電車でも車でも)、外房の海辺に魅力的な場所を見つけたのです。土地の値段は同じ時間距離の湘南の1/10〜1/20程度。300m歩けばサーフィンのできるビーチが、ドーンと広がってます。

都会の喧噪に20年間も曝され続け、なんだか体内に少しずつ悪いモノが蓄積されてんじゃないか? このまま都心生活だけでいいのか? それって本当に豊かなのか? そういった危機感に近い疑問を抱き始めた頃でした。
身体が自然を求めていたのかもしれません。
しかし、仕事の中心は東京。毎日通わなければいけないし、まだバリバリ働きたい。そこで気がついたのが、「新しい郊外」という概念。
それは仕方なく住むベッドタウンとしての郊外ではなく、積極的に目的意識を持って住む郊外です(しかも、仕事に通える)。僕の場合の目的は、海とサーフィン(引っ越しを機に始めた)、そして自分や家族と向き合う時間。

そして今、馬場家(夫婦と子ども二人)は、房総に自宅(この家)、都心に小さなマンション(こっちが別荘)を借りて、ダブルハウス生活をしています。仕事場まで一時間半なので十分通勤圏。でも忙しいときは都心の部屋に帰ります。家族は、好きな方の家に行ったり来たりしています。
ローンと家賃を合わせても25万円前後、都心部なら80〜100平米のマンションと同じくらいじゃないでようか? それって必ずしも無理な数字ではありません(まあ、苦しいけど)。

さて、馬場家の今後はどうなっていくのでしょう? それはブログで今後、報告していきますが、とにもかくにも、僕はこんな生活を始めてみました。

肩こりが軽くなりました。
空気も食べ物もうまいです。
電車のなかの時間の使い方がうまくなりました(座れるから)。
散歩を久しぶりにしています。

この本では、ちょっとした気づきから土地を買って家をつくるまで、それに至った家族の経緯を書いています。まあ、建築家らしく都市論もちょっと。

仕事で家を設計しているのと、実際、施主になって建ててみるのとでは大違い。そのおかげで、施主の気持ちの微妙なヒダが、今まで以上に理解できるようになりました。
この本を通じて、新しい気づきの断片を、たくさん紹介しています。